夏はイベントが盛りだくさん。8月はもうすぐ終わるが家族で外出やレジャーなどを楽しんだのではないだろうか。ただ、その裏では子供に疲れがたまっているかもしれない。

小児科医・宮野孝一さん
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みやのこどもクリニック(東京・江戸川区)院長で、小児科医の宮野孝一さんによると、子供は暑さの影響を受けやすく、夏の疲れが“ボディブロー”のように効いてくる。

本人も気づいておらず、新学期になってから体調を崩すこともあるという。そこで、子供の夏バテが疑われるサインを教えてもらった。ポイントは「帰宅後の行動」だ。

脱水と寒暖差が引き金になる

夏バテは「自律神経」が乱れ、疲れやだるさなどの不調を起こした状態だ。忙しい大人だけがなるイメージもあるかもしれないが、「子供こそ気を付けてください」と宮野さんは話す。

子供は大人よりも「体内の水分量の割合」が高く、個人差もあるが、体重の約65~75%は水分だ。それだけに代謝も盛んで、水分が汗や尿として出ていきやすい。また背丈も小さいので、太陽の照り返しによる“体感的な暑さ”も強く感じやすいという。

夏場は普通に過ごしているだけでも、水分やミネラルが足りなくなる「脱水」に陥りやすく、これが自律神経のバランスを乱してしまう。

交感神経が刺激され、子供の体力が奪われてしまう(画像はイメージ)

自律神経には心身を活発にする「交感神経」、逆にリラックスさせる「副交感神経」があるが、脱水傾向になると、このうちの交感神経を強く刺激するというのだ。

「交感神経が刺激されると、体には興奮や緊張、体温の上昇などが現れます。車に例えると、ブレーキ(副交感神経)が利かないのにアクセル(交感神経)を踏んでいる状態なので、子供の体力もどんどん奪われるのです」(以下、宮野さん)

さらに、子供は冷房の温度を必要以上に下げ、部屋をキンキンに冷やしたりする。この寒暖差も自律神経に負担をかけるので、バテやすい。

見逃さないで!夏バテのサイン

子供は自分の体調をうまく伝えられない、夏バテしていることに気づいていないこともあるという。そこで、宮野さんは「2つのサインを見逃さないでほしいです」と話す。

帰宅してすぐ、横になるようになったら注意(画像はイメージ)

ひとつが「外出先から帰ってきた後の行動」だ。ソファやベッドで横になることが増えた、いつもしない昼寝や夕方にも少し眠るようになったなら、バテを起こしている可能性がある。

「自律神経が乱れると夜に眠れなくなるので、外出先から帰ると横になることが増えます。いつもはゲームや運動をするのにしなくなったなど、その子にとって“当たり前の遊びや行動”ができなくなっているときも、注意が必要です」

食事での様子もポイントだ(画像はイメージ)

もうひとつは「食事に時間がかかる・食べる量が減った」だ。自律神経の乱れで胃腸の機能が弱まり、無意識に食事を受け付けなくなっているかもしれないとのことだ。

このほか次の症状がみられても、夏バテが疑われるという。
・頭痛やだるさを訴えている
・手足に触れると冷たく感じる
・休みなのに眠そうな様子を見せる
・腹痛や下痢をよく起こしている
・機嫌が悪く、感情が不安定になっている

宮野さんは「大人は『だるい』と言えますが、小さいとうまく話せないこともあるので、様子を注意深く見てあげてほしいですね」と話す。もし、自分の子供に夏バテが疑われたら親はどんなことができるのか。次回は、生活を整えるためのポイントをお伝えする。

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宮野孝一
帝京大学医学部卒業、弘前大学大学院修了。弘前大学医学部附属病院、関連病院などで勤務する傍ら、小児白血病や骨髄移植などの診療と研究に従事する。墨田区賛育会病院、江戸川区池下クリニックを経て、1998年にみやのこどもクリニックを開業。「わかりやすい説明」を診療のモットーとして、25年以上にわたり、地域のかかりつけ医として活動する。医学博士、日本小児科学会認定専門医、 日本アレルギー学会認定医。

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