陸上自衛隊の輸送機「V22オスプレイ」1機を使った人員輸送と離発着訓練が22日、札幌市と帯広市、旭川市の陸上自衛隊駐屯地で行われた。オスプレイが初めて飛来した帯広市では、駐屯地前で抗議行動が行われた。

 陸自のオスプレイは21日に千葉県の木更津駐屯地から人員輸送のため札幌市の丘珠駐屯地に飛来していた。陸自のオスプレイの道内飛来は初めて。

 オスプレイを巡っては、米軍所属CV22が昨年11月に鹿児島県屋久島沖で墜落し、搭乗員8人が死亡する事故が起きている。帯広駐屯地周辺は一部を除き住宅街のため、帯広市は今月9日に「安全性に対する市民の不安が払拭(ふっしょく)されている状況とは言い難い」として、十分な説明や安全管理の徹底、配慮を求める要望書を北海道防衛局に提出していた。

 帯広飛来に合わせ、市民団体が22日午前、帯広駐屯地前で抗議行動を行った。約100人が横断幕などを掲げながら「欠陥機オスプレイは来るな」「離発着訓練をやめろ」などと声を上げた。

 この日、オスプレイは帯広駐屯地に午前10時45分ごろに着陸、同11時10分ごろに旭川に向けて飛び立った。

 訓練は23日までの予定だったが、陸自は天候悪化の予報を受け、22日中に旭川駐屯地から木更津駐屯地にオスプレイを帰還させた。

 オスプレイ飛来について、道なども配慮を要請していた。しかし、札幌市に飛来した21日には離陸や着陸の実績について道庁や市への情報提供はなかった。秋元克広・札幌市長は21日の定例会見で「(不安を解消するほど)十分な情報提供がなされていない」と批判していた。

 北海道防衛局は、22日から離陸や着陸の実績について関係自治体への情報提供を始めた。「今般の状況を総合的に判断して、22日から離陸・着陸の実績について地元自治体(道庁、札幌市、帯広市、旭川市)に連絡している」と説明した。道内の状況は道庁のホームページ(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/197684.html)で確認できる。(中沢滋人、原知恵子)

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