北海道産の小麦とバターを使い、シンプルな風味が特徴の「北海道ミルククッキー」

「札幌農学校」ブランドの「北海道ミルククッキー」は累計3億枚を販売するメガヒット菓子だ。商品開発のコンセプトは、10人のうち8人が「おいしい」と感じる「8割主義」。北海道産の素材や製法にこだわり、シンプルな風味を貫く。2025年にブランド誕生から20周年の節目を迎えるのを前に、ラインアップをさらに広げている。

札幌農学校は、洋菓子販売を手掛ける北海道コンフェクトグループが展開する。看板商品は、ブランド展開を始めた05年から定番の北海道ミルククッキー(3枚入り180円)。道産の小麦とバターを使い、サクッと軽い食感が特徴だ。

商品づくりで大切にするのは「8割主義」だ。同グループの長沼昭夫会長が掲げるコンセプトで、行き着いたのは「シンプルさ」の追求。奇をてらった商品や、一時の流行に流される菓子では8割の支持を集められない。

北海道ミルククッキーはチョコレートやクリームなどのトッピングを用いず、風味も1種類のみ。「材料にこだわり、手間暇をかけ、再現できない究極においしいものをつくる」(千葉真由美取締役)ことで、8割主義を体現する。

札幌農学校ブランドの商品はミルククッキーだけの時期が長かったが、約2年間で品ぞろえを10種類ほどに広げている。JR札幌駅に22年開業した土産店「北海道四季マルシェ」内には、ミルククッキーであんことバターを挟んだ「焼きたてクッキーサンド餡バター」を販売する店舗をオープンした。

24年7月には「札幌農学校 新千歳空港ファクトリー店」を開設した。店内にオーブンやキッチンなどの工房を併設しており、焼きたてのクッキーやチーズケーキなどを提供する。

「焼きたて酪農チーズケーキ」は新千歳空港内の店舗で生地づくりから焼き上げまで行う

同店の新商品の中で特に人気を集めるのは「焼きたて酪農チーズケーキ」だ。グループの自社農場で放牧する乳牛の牛乳や、北海道産クリームチーズなど素材を厳選して使用。ケーキの表面に札幌農学校の焼き印を入れ、シンプルに仕上げる。生地づくりから完成まで店内で手掛け、できたての味を提供する。

「札幌農学校 新千歳空港ファクトリー店」には長い行列ができていた(15日)

8月中旬にはお盆の帰省シーズンでターミナルビルがにぎわう中、同店にはひときわ長い行列ができた。多い時は80人近く並ぶこともあるという。8割主義を貫き、道内外の消費者に愛される札幌農学校ブランドが、20周年の節目に向けてさらに支持を広げている。

北海道大学の前身校名から命名、入学式で1000箱即完売

ブランド名は北海道コンフェクトグループ現会長の長沼昭夫氏が「北海道らしいお土産をつくりたい」と考え、北海道大学の前身である札幌農学校と名付けた。札幌農学校は、明治初期にクラーク博士をはじめとする農業の専門家が北海道を訪れ、近代の農業を広める際に中核的な役割を果たした学校だった。

札幌農学校の北海道ミルククッキーは、05年に北海道大学の入学式で初めて販売した。1000箱が即完売する人気ぶりだったという。商品の売上高の1%は、発売以来北海道大学の教育支援のために寄付している。

(塚田源)

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