コメ不足が深刻だ。スーパーの棚は品薄、購入制限もされている。

『令和のコメ騒動』は、この先どうなるのか。都内を中心に、スーパーや飲食店を展開する『アキダイ』の秋葉弘道社長に話を聞いた。

■品薄はまもなく解消されるも、値段は上がったまま…

アキダイ 秋葉弘道社長
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アキダイ 秋葉弘道社長:今日も、注文した分の2割しか入荷していません。これだけ品薄なのはちょっと記憶にないぐらいです。本来なら今頃は、昨年のコメがやや値下がりし、九州など早い産地の新米が出回り始める時期です。

ところが今年は、価格は2割ほど値上がりし、極端なコメ不足という状況です。

今後、全国の産地から新米が出始めるので、この品薄状態は、9月頃にはいったん落ち着くと思います。しかし、値段は上がったままでしょう。

■原因は「猛暑被害」と「コメだけ値上がりしていなかった」こと

アキダイ 秋葉弘道社長:一番の原因は、昨年の猛暑による農業被害です。

もう何年も猛暑だと言われていますが、これまで新潟や東北の産地は免れていました。ですが昨年の「最も暑い夏」によって、ついにコメの産地も深刻な影響を受けてしまったのです。

そしてもう1つが「コメだけ値上がりしていなかったこと」。ここ数年の物価高で、多くの食品が値上がりしましたが、コメだけは上がっていなかった。そこで皆さん、お米を食べようとなって、結果、コメの需要が大幅に拡大しました。

インバウンド需要もあります。海外からの旅行客が、美味しい和食を求め、ここでも予想以上に需要が拡大しています。

■2度の値上がりでも需要が落ちず

アキダイ 秋葉弘道社長:GW前後からコメの需要と供給のバランスに変化を感じました。コメがよく売れるんです。うちの店では足りなくなるなと思ったので、6月から購入制限をかけていました。

コメの売れ行きが良いので、(仕入れ価格が)6月に値上げされましたが、それでも需要が落ちず、7月にもう一度、値上げ。この2回で、だいたい2割ぐらい上がりました。

例年なら、6月7月はコメが値下がりする時期です。新米の流通を前に、古いお米を売って倉庫のスペースを空けたいというのがお米屋さんの事情。特売の依頼が来るのですが、今年は立て続けに値上げしました。しかし、値上げすることで売れ行きを抑えるはずが、「値段がどんどん上がっているから、今、買っておこう」となってしまったのです。

それでも、値上がりしたことで、8月頭にいったん落ち着いていたのですが、そこへ南海トラフ地震の臨時情報が出て、備蓄購入が一気に増えたのです。これがトドメとなり、コメ不足を引き起こしました。

■値段が下がる見込みはない

アキダイ 秋葉弘道社長:本来の流通は、昨年のお米と新米が同時に流通するということです。しかし今年の場合は、昨年のお米が非常に少なく、新米中心の流通になるので、(今のような品薄は解消されるでしょうが)全体の量はあまり多くありません。ですから、値段が下がる見込みはなさそうです。

それに、そもそも物価高騰で農家の生産コストはかなり上がっているのに、コメの価格は上がってなくて、農家さんは苦しい状況が続いています。

ですから、今後はコメも、物価の上昇に合わせた値段になっていかないと、農家さんが減ってしまう心配が出てきます。生産者が生産しやすい環境を整えるのは重要なことだと思います。

主食のコメが買えないと心配になるでしょうが、まもなく新米が出回ります。焦って余分に買ったりせず、美味しい新米を待ちましょう。

(アキダイ 秋葉弘道社長)

(関西テレビ 2024年8月25日)

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