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 9月に予定される自民党総裁選で、候補者が12人乱立と取りざたされる中、いち早く出馬会見を開いたのがコバホークこと小林鷹之衆議院議員(49)。総裁選に向けて小林氏が描くビジョンとは。政治ジャーナリストの青山和弘氏が直撃インタビューした。

【映像】東大時代の小林議員(複数カット)

 日本経済新聞社とテレビ東京が実施した8月の世論調査で、小泉進次郎元環境大臣が23%、石破茂元幹事長が18%、高市早苗経済安全保障担当大臣が11%と続き、小林氏は8%と7月調査時点での1%から大幅に伸ばした。これに小林氏は「ジェットコースターに乗っている感じなので、(世論調査は)全然チェックできていないです。本当に知名度ゼロからの出発なので。ありがたいです」と語った。

 当選4回、49歳という若さの立候補は派閥解消の象徴的な出来事ともいえる。しかし党内では出馬を潰す動きもあったという。実際に出馬させない動きはあったのか。小林氏は「ありましたか?わからないです。(あったとしても)ひるまないですね。政治家なので、自分の芯がブレたら終わりだと思います」とした。

 小林氏を推す人がいる一方で、「まだ早い、とっておくべきだ」「焦る必要はない」との考えの人も議員の中にもいたとされる。自身もそういう思いがあったのか。「思わなかったですね。まだ若いとか、当選4回だからといった話は、確かにそういうお声をいただいたこともあったのですが、年齢とかで若いとは全く思っていないです」。

 小林氏は1974年、千葉県出身。東大合格日本一の開成中学高等学校卒業後に東京大学法学部に進学。在学中は部員100人を束ねるボート部の主将を務めた。組織をまとめる力、ブレない精神を培ったという。卒業後は旧大蔵省(現財務省)に入省、ハーバード大学ケネディ行政大学院にも留学。在米日本大使館では一等書記官を歴任。米駐在時に、民主党・鳩山由紀夫総理の対応により日本の存在感が低下することに危機感を覚え、当時の自民党総裁・谷垣禎一氏に思いを綴った手紙を送り議員の道へ。2012年に初当選、二階派に所属し、防衛大臣政務官を務めた。そして岸田内閣では経済安全保障担当大臣に抜擢された実力派だ。

 では、総理総裁になったら何がしたいのか。「今回、出馬に踏み切ったのは、自分の政治家としてのキャリアがどうとか、正直そんなちっぽけなことはどうでも良くて、むしろ日本内外の環境がものすごく厳しい状況に置かれている」とした上で「これまで国政に挑戦したいろんな思いがあるんですけれども、常に思い続けていることは、“世界をリードできる日本にしたい”ということ。今動かなければ、数年の私たちの行動が数十年後の日本の未来を左右する、そういう局面に今日本が立っている、つまり分岐点に立っている。そう思った以上は行動しようと。一部メディアの方からは“世代交代”と言われるのですが、世代交代を目的になんかしていない。むしろ後輩もいれば大先輩もいて、自民党の豊富な、ある意味人的な資源リソースを結集できるような自民党にしたい。そこはオール自民党でやっていきたいと思っています」と意見を述べた。

 今回の総裁選は、地に落ちた自民党をどう再生させるか。さらに、次の総選挙をどう乗り切るのか。そんな指摘がなされているなか、40代の候補は“若さ”を評価されている自らの出馬をどう捉えているのか。「メディアの方が、私が40代であることで刷新感とおっしゃるんですけれど、今回どういう自民党にしたいかというと、国民の声が届く自民党でなければいけないし、国民の皆さんの目が届く自民党でなければいけないと思うので、透明性は高めていきたい。やれることはしっかりとやっていく」。

 続けて「いわゆる昔の派閥が今回なくなって、当たり前の話ですけれど、これからの自民党の人事は本当の意味で“実力主義”でなくてはいけない」「私はこれまで派閥に所属をしていまして。政治家としての心構えとか選挙への臨み方とか、いろいろ教わってきたので非常に感謝しています。自民党は総裁・幹事長に権力が集中しすぎるのは良くないと思っているので、今回自分たちで党則やガバナンスコードを改訂して、『お金や人事に影響を行使するような派閥はもうやめましょう』と禁止をした。自分たちが決めたルールを守るのは当然ですから」と明言。

 しかし、自ら決めたルールも守れず、裏金問題の結末は立件された議員らの不起訴処分などで終了。政治資金規正法も改正したが、どちらも中途半端で国民の政治不信は払拭されていない。同じく裏金問題で立件された二階派出身議員として、どう感じているのか。裏金問題の真相究明と責任問題は十分だったのか。「真相究明という形で言えば、真相を知りたい。私、わからないので。その真相を知りたい自民党の国会議員は少なからずいる。みんなモヤモヤしていると思います。どうすれば真相にたどり着けるか。考えれば考えるほど、実効性ある方法がなかなか出てこなかった」。

「私が総裁選に立候補をして、仮に総裁になったときに、私が国民の皆様に『これは必ずやり遂げます』『自分の責任として必ず結果を出します』と言えるのは、今回新しくルールを作って、厳格に適用する。例外なく。今後、(裏金問題で)新しい事実が出てきたら、当然、党として再調査すべきだと思うし、そこは約束させていただきたいと思います」

 大臣として靖国参拝をおこない、法改正論議では憲法への自衛隊明記を主張。また、自民党を支持する経団連からも改革の要求が出ている選択的夫婦別姓についても慎重な立場をとっている。その理由とは。「選択したい人がいるならそれでいいじゃないかと。確かに大人はそれでいいかもしれないですけれど、結婚されてお子さんが生まれてくることも当然ある。すると別々の姓になる、片方の親とその子どもでまず姓が異なる、兄弟姉妹が出てきたときに、家庭によっては、兄は父親の姓、弟は母の姓ということもあり得る」とした上で「いつどの時点で子どもの姓を決めるのか。あるいは子どもに選ばせるのか。そもそも選ぶ権利を認めるのか。世論調査を見ても、兄弟姉妹で姓がバラバラになってしまうことに対しては懸念を持っている方が相当程度まだいらっしゃる」とした。

「制度は一気に変えればいいのではなくて、子どもの視点が重要だと思う。子どもの立場に立った上で『選択的夫婦別姓制度』を進めることが、本当にいいのか。そこはまだ議論すべきではないかと思っている。私自身の価値観を押し付けようとしているわけではなく、世の中の考え方が必ずしも一枚岩になっていないと認識している」

 そして、多くの国民が期待する経済政策。財務省出身ということは、アベノミクスのような金のばら撒きによる景気刺激策より、支出を引き締め、国の赤字を抑える緊縮財政が優先なのか。「まず申し上げるのは、経済が財政に優先する。つまり、経済が成長しない限り、財政・社会保障の持続可能性はなかなか担保されない。経済を成長させていくことによって当然企業の収益は増え、所得も増えていき、自然に税収が増えていって、財政にとっても社会保障にとってもプラスになる。そういう方向で考えないといけない」「総理総裁になったら、自分の下にその財務省の方がいるので、方針にのっとって国家運営をやっていきたいと思っています」と意気込んだ。

 最後にラーメン好きだという小林氏に話を聞くと「ラーメン大好きですね。(お気に入りは)“豚骨”と答えたいんですけれど、最近は“鶏白湯”にこだわっていますね」と笑顔で応じた。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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