写真はイメージ=ゲッティ

 健康保険組合連合会(健保連)は23日、全国の健保組合の2024年度予算推計をまとめ、平均保険料率は前年度比0・05ポイント増の9・32%で過去最高となったと発表した。経常収支赤字額も6578億円と過去最大規模を見込んだ。赤字組合数は1194組合と全体の9割弱に及び、厳しい収支状況が続いている。

 赤字が膨らむ要因は、22年から団塊の世代が75歳以上になり始め、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の財政を支えるために拠出する「支援金」の増加が挙げられる。新型コロナウイルスの感染拡大下で医療費の伸びも続いている。佐野雅宏会長代理は「『給付は高齢者、負担は現役世代』という構図が限界に近づいている」と訴えた。

 今回は予算のため、春闘での賃上げ結果は現段階で反映されていない。1%の賃上げは保険料収入800億円程度に相当するとされるが、佐野氏は「賃上げの影響は間違いなく出てくると思うが、赤字をカバーするまでは考えづらい。厳しい財政状況に変わりはない」としている。

 健保組合には主に大企業の従業員やその家族ら約2800万人が加入している。従業員と勤務先が折半で毎月払う保険料をもとに、医療費の支払いなどの保険給付や健康診断などの保健事業を担っている。【松本光樹】

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