名古屋市教委の金品授受問題に関する最終報告書をとりまとめるための会議を開く、調査検証チームのメンバー=名古屋市中区で2024年8月28日午前11時2分、真貝恒平撮影

 名古屋市教育委員会が多数の教員団体から校長職などに推薦する教員名簿とともに金品を受け取っていた問題で、市の調査検証チームは28日、最終報告書を河村たかし市長に提出した。「名簿、金品の授受で人事が不当にゆがめられたことは確認できなかった」とする一方、市教委側が教員OBらに人事異動案を事前に見せていた慣習について「教育委員会制度に対する冒とくで、地方公務員に課された守秘義務に反する」と厳しく批判した。

 関係職員に対する刑事処分、懲戒処分の判断については「訴追機関等の判断、職員の任命権者である市教委の判断」と対応をゆだねた。

 最終報告書によると、教職員課は記録の残る2017~23年度に、教員団体から計1312万円(商品券含む)の金品を受け取っていた。23年度は校長会や大学同窓会など86の任意の教員団体から名簿が出され、うち69団体が教職員課に金品を提供していた。

 今回の問題は今年2月、一部報道を受けて市教委が事実を認めた。市は第三者を含む調査検証チームを発足し、関係者から聞き取りなどを実施してきた。

 調査の過程では、推薦名簿が公式な書類として存在しないことを示す「アングラ」と隠語で呼ばれていたことや、市教委の教職員課長らが管理職経験者の教員OBらに人事異動案を「内覧」と称して事前に見せていたことが明らかになった。【川瀬慎一朗】

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