尾花沢市の小さな集落がまちおこしとして毎年取り組んでいる「かかし作り」。ことしは7月の大雨でかかしにも被害があったが、107体の力作がそろった。

尾花沢市西原地区では、住民が6年前から「かかし作り」に取り組んでいる。全75世帯のうち7割を超える世帯でかかし作りをしていて、「地域のシンボル」となっている。

(かかしを作った人)
「家族仲良くしているように作った。いつもけんかばっかりしてるから。孫たちが着なくなった服や、婆さんが着なくなった服を使っている」

自分が40年前に花笠踊りの際に着ていた法被を使ってかかしにしたそう。

(作った人)
「思い出の法被。タンスを整理していたら出てきたので、『これもいいかなぁ』と思って」

ことしの西原地区のかかしは全部で107体。集落を歩いていても、人よりもかかかしに出会うことの方が多いほどだ。
農作業をする3人の姿を見つけた…が。

「こんにちは~かかしでした!」

(かかしを作った人)
「タヌキとか来ると『うわー!』というような感じで、(怖い顔で)作った。置いてからはタヌキが来ない」

もともとはタヌキ・サルから農作物を守るためのかかしだが、今では地域を明るくする“大切な存在”となっている。
ほかにも人気アニメのキャラクターのかかしや、尾花沢市ゆかりの力士・琴櫻と取り組みをすることができるかかし、そして遠くから見ると人間とまったく見分けがつかないかかしなど、地区のみなさんが趣向を凝らしたかかしがあちこちにある。

一方で、7月の豪雨で被害を受けたかかしもあった。あるお宅では壊れてしまったかかしを一旦家の中に避難させ、修復作業を行なっていた。
そしてきょう(30日)、約1カ月ぶりに元の場所へ帰ってきた。

(かかしを作った人)
「かかしを十字にして作っていたが、ばっつり折れてしまって上半身が落ってきた。だからうちに連れて帰って作り直した。かえって出来栄えがよくなった。楽しいね、来年のこと考えている。もう2年分くらい案がある。生きがいになったわ」

(西原地区親睦会事務局・渡辺修さん)
「話題が段々と少なくなって、子どもも少なくなって近所付き合いも希薄になっているが、かかしを通して話題が広がり会話も増えるし、集まる機会も増えている」

地域の絆を深める西原地区のかかしたち。10月半ばころまで誰でも見ることができる。

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