厳しい残暑が続く中、胃腸の調子が悪く、食欲も落ちているという人はいないだろうか。
「夏は、暑さによるストレスで交感神経の働きが強くなっているので、胃腸の働きが落ちてしまうのです」
こう説明するのは、産婦人科医でヨガ指導者の高尾美穂さん。胃腸の調子を整え、残暑を乗り切る対策を聞いた。
1日1品でも温かいメニューを
胃腸は、自律神経の副交感神経の働きが強い時、つまりリラックスしている時によく働く。一方で、交感神経の働きが強い緊張状態だと働きが落ちて、消化・吸収・排泄はうまくいかないという。
交感神経の働きが強いと血管が収縮する。胃腸や肝臓など全ての臓器は血管から栄養を得て、老廃物を排出している。そのため血管が収縮し細くなると血液の流れる量が減り、働きが落ちてしまうのだ。
そして、胃腸の働きが落ちていて食欲がないからといって、冷たくてサッパリしたものだけを食べていると、体の内側を温める機会が失われ、“夏冷え”の原因になってしまう。
また、食欲がなくなると、そうめんや蕎麦や冷やし中華など、冷たくて食べやすい麺類ワンプレートだけといった食生活になりがちだ。すると、栄養が偏りがちになってしまう。
この記事の画像(6枚)「熱いものを食べたくない季節ではありますが、胃腸の調子を整えるには、1日1回でもお味噌汁や温かいご飯をメニューに加えてみて」と高尾さん。
さらに、「キッチンも暑いし、簡単に作れるものでいいや…という気持ちもわかりますが、麺類だけや丼ものなど、単品で食事を済ませないように、サラダとお味噌汁をセットにするなど定食スタイルを意識するといいでしょう」とのこと。
なお、胃腸とともに肝臓の機能も落ちていることにも注意が必要とのこと。お酒が好きな人は、量を減らすよりも飲まない日を増やしてほしいという。できれば週3日は飲まない日を。
便秘にはヨガ的アプローチ
腸の機能が落ちてガスが溜まる、あるいは便秘で困っている人は、ヨガのアプローチを行ってみるのもいいという。高尾さんお勧めの2種のポーズを紹介する。
【便秘を解消するポーズ】
左右の腸を刺激することで、便秘の解消をサポートするポーズ。
(1)椅子に座るか正座した状態で、左右どちらかの脇腹の一番くびれている部分にこぶしを当て、グッと押し込む
(2)反対側の体側をこぶしに体重をかけるように傾けて、9秒間キープする
(3)逆側も同様に行う
【ガス抜きのポーズ】
仰向けになり膝をかかえることにより、直腸と肛門がまっすぐになり、便とガスを出やすくするポーズ。
(1)仰向けになり両膝を両手で抱え、グッと胸に引き寄せる
(2)腹式呼吸をする
夏こそ温かいメニューと定食スタイルを意識することが大切とのこと。また、お酒好きの人はなるべく休肝日を。そして、便やガスが溜まってしまった時はヨガのポーズも取り入れてみるといいかもしれない。胃腸と肝臓をいたわり、厳しい残暑を乗り切ろう。
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高尾美穂(たかお・みほ)
産婦人科専門医、医学博士、スポーツドクター、ヨガ指導者。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。 婦人科部門責任者として女性のライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポート。マターナル(周産期)ヨガも提供。 著書に、『生理周期に合わせてやる!超効率的フェムテックダイエット』(池田書店)、『超かんたんヨガで若返りが止まらない! 老けたくないなら、骨盤底筋を鍛えなさい』(世界文化社)など。
イラスト=さいとうひさし
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