「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)や「内密出産」に取り組む熊本市の慈恵病院が、赤ちゃんを早期に養育先家庭へ移すための体制整備を求めている。院内で預かる赤ちゃんが一時、過去最多の7人に達したためで、熊本市児童相談所に対し、全国の児相などと連携して受け入れ先を広げてほしいと訴えた。
蓮田健(たけし)院長が8月8日に記者会見した。同日時点で、親が育てられない乳幼児を預かる「ゆりかご」の3人、病院だけに身元を明かす「内密出産」で生まれた2人などの計7人が、行き先が決まらないなどで病院にとどまっていた。2007年のゆりかご開設以来最も多く、預かり期間は長い赤ちゃんで1カ月を超えた。その後、行き先未定の赤ちゃんは減少した。
ゆりかごや内密出産の赤ちゃんは、熊本市児相が市に登録している里親への委託や特別養子縁組、乳児院への入所といった手続きを進める。ただ市児相によると、里親側の事情や乳児院が満床に近いなどで速やかな受け入れが難しい場合もあるという。
蓮田氏は「愛着形成のためには5日程度で養親や里親に託すのが理想」だと主張。「慈恵病院には熊本県外からも預け入れがある。市児相は全国の児相や民間団体にも協力を求めてほしい」と訴えた。市児相は「現在も他の自治体と連携は取っているが、さらに広げる検討を進める必要がある」としている。【中村敦茂】
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