JR北海道が来年4月からの実施をめざす平均7.6%の運賃値上げについて、国の運輸審議会が市民らから意見を聞く公聴会が3日、札幌市であった。JR側が乗客減や燃料費高騰などで経営が苦しいとして理解を求めた一方、市民団体の代表らからは「通学定期の値上がりは家計の負担が大きい」などと撤回を求める声が相次いだ。

 JR北は6月、所管する国土交通省に運賃の値上げを申請。認められれば、初乗り運賃は今より10円高い210円に、特急料金を含む主要都市間の料金は札幌―旭川間が220円高い5440円、札幌―函館間が330円高い9770円などとなる。

 定期券は、値上げに加えて割引率も縮小。通勤定期で平均22.5%、通学定期で平均10.5%の値上げになる。消費増税の転嫁分を除いた値上げは1996年と2019年10月に続き3回目で、JR旅客各社では北海道だけだ。

 JR北は、24年3月期の営業損失が499億円になるなど巨額の赤字が続く。綿貫泰之社長は「ほかの交通機関と比べてJRの通学定期の割引率は高い」とし、財務体質改善の必要性を訴えた。

 一方、大学教員や市民団体の代表からは「(前回の値上げから)5年程度で再び値上げすることになり、再検討すべきだ」「人口減で学校の統廃合が相次ぎ、通学範囲が広がっている。なのに通学定期の値上げは家計への負担が大きい」などの意見が相次いだ。

 運輸審議会は今後、意見をもとに値上げを認めるかを判断し、国交相へ答申する。決定時期は未定という。(上地兼太郎)

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