朝起きると、なんだか体がかゆい。家族もかゆそうにしている…。こんな様子が見られるなら“ダニの仕業”かもしれない。

アレルゲン対策の専門家・白井秀治さんによれば、秋はダニ刺されに気を付けたいシーズン。寝具や衣類が“ダニだらけ”になっていることもあるというのだ。そこで、症状の特徴やこれからの季節に役立つ予防対策を教えてもらった。

刺される頻度や痕に注目

自宅でかゆみを感じるなら「ツメダニ」が悪さしていることが多いと、白井さんは話す。ツメダニは体長が0.5~0.8mmほどで、もっと小さな「チリダニ」など、他のダニの体液を吸って生きている。刺されると患部がぷっくりと赤く盛り上がり、かゆみが1週間ほど続くのが特徴だ。

代表的なツメダニである「クワガタツメダニ」がこれだ(提供:株式会社ビアブル)
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一般的な虫刺されと見分けるのは難しいが、ダニ刺されには次の傾向がみられるという。
・刺される頻度(連日のように刺されるなら、ダニの可能性がある)
・刺された痕(かゆみを伴う湿疹が、ポツポツと散らかったように出やすい)

ツメダニに刺された跡(提供:有限会社 日革研究所)

「ツメダニは刺されてから、数時間~48時間以内にかゆみや皮膚の変化が現れます。この間に他の虫に触れた心あたりがないのであれば、ダニの可能性があります」(以下、白井さん)

下着や寝具が“ダニだらけ”に

そんなツメダニは自宅のどこに潜むのか。白井さんが出やすいとしたのが、次の3カ所だ。

・布団やマットレス
・ラグやゴザなどの敷物
・クッションやぬいぐるみ


これらは「温度と湿度」があって「ヒトの皮膚やフケ」もたまりやすい。チリダニが繁殖しやすくもある。そこを狙って集まるのだ。ツメダニはダニを捕食対象としているが、ヒトも偶発的に刺してしまうことがあるので、触れる機会の多い“インテリアアイテム”では注意が必要だ。

洗濯できるものは洗濯を(画像はイメージ)

もしダニ刺されの可能性があるなら、次の方法を試してみてほしい。

【布団やマットレス】
コインランドリーで高温の洗濯乾燥をする。家庭用の布団乾燥機にかける。掃除機でほこりとダニをこまめに吸い取る。

【ラグやゴザなどの敷物】
敷物の表側と裏側に掃除機をかける。毛がある敷物なら毛を逆立てるように。スチームアイロンがあるなら使ってもいい。

【クッションやぬいぐるみ】
洗濯できるものは洗濯をする。樹脂製など、毛がフワフワしていないものに買い替える。

しまっていた布団が危ない(画像はイメージ)

さらに注意が必要なのは、押し入れやクローゼットにしまっていた、秋冬用の衣類や寝具。夏場の湿気や温度の影響で、“ダニだらけ”になっていることもあるのだとか。

「久しぶりに履いたら下着や肌着の形に刺されてしまったという、話を聞いたこともあります。長期間しまっていた衣類や寝具は洗った方がいいかもしれません」

衣替えシーズンもそろそろやってくるので、覚えておくと良さそうだ。

自宅にダニが増える…秋冬のNG行動

ツメダニの被害を防ぐには、餌となるチリダニをはじめとする、その他のダニを減らすこともポイントとなる。しかしチリダニが増える“NG行動”をしていることも多いそうだ。

加湿器で保湿のはずが…(画像はイメージ)

避けたい行動のひとつが「加湿器と暖房を併用する」こと。チリダニは気温が25℃前後、湿度が60%以上で繁殖しやすいが、喉や肌を保湿しようと加湿器を使いつつ、暖房を入れるとこの条件を満たしてしまうことがある。

「ヒトが心地よいなら、ダニにとっても心地よい環境です」と白井さん。もし加湿をして湿度を高く保ちたいのであれば、暖房は上限を20℃くらいにとどめ、寒さは重ね着で調整するくらいが望ましいとのことだ。

上着の扱いも気を付けたいところ(画像はイメージ)

もうひとつが「外出用の衣類(特に上着)を洗濯せずに使いまわす」こと。チリダニは外出先の布製品などにいることもあり、自宅に大量のダニを持ち込んでしまうこともあるという。外出用の衣類はできるだけ玄関で脱ぎ着する。そしてこまめに洗濯をするのがお勧めだ。

ダニ刺されが疑われたら病院へ

ツメダニに比べると珍しいケースだが、ダニ刺されはネズミに寄生する「イエダニ」、鳥に寄生する「トリサシダニ」、野山にいる「マダニ」によることもあると白井さんは話す。

症状の原因が分からないまま対処すると、悪化する可能性もあるので、「ダニに刺されたかもしれない」と思ったらまずは、皮膚科を受診するのがお勧めとのことだ。

「自宅にダニが繁殖してしまうとその分、刺されやすくもなります。家族がよく過ごす空間や肌に触れるアイテムが多いところは、こまめに掃除をするのがいいですね」

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アレルゲン対策の専門家・白井秀治さん

白井秀治
専門は室内環境におけるアレルゲンの評価と対策。ダニ対策寝具の開発に携わったことがきっかけで、アレルゲン分析・測定の道に進む。家庭で取り組めるアレルゲン対策情報を発信しており、保健所や医療機関での講演も行う。日本アレルギー学会、日本職業・環境アレルギー学会、日本臨床環境医学会、室内環境学会などに所属。

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