菅平合宿中のバーベキュー大会で大盛りの白飯を手に笑顔を見せる、拓大の村松俊介選手(4年)=拓大ラグビー部提供 ©渡辺周治
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 「ラグビー合宿の聖地」で知られる長野県上田市の菅平高原。100面以上のグラウンドがあり、夏場は連日、激しいトレーニングと練習試合が繰り広げられている。秋冬のラグビーシーズンを控え、屈強な肉体を誇る選手たちの食欲は旺盛そのもの。キャンプ地には、驚くべき光景が広がっていた。

 「二度と来るもんか!」

 そう書かれたTシャツがお土産店の定番商品になっているほど、ラグビー選手にとって「菅平」は過酷な鍛錬の場だ。菅平高原観光協会によると、今夏は高校、大学を中心に約800チームが合宿した。全国各地からラグビーファンや保護者、スカウトも訪れ、ピッチの周辺はにぎわう。

昼食で胃袋に消える「肉35キロ」

長野・菅平高原で合宿中に開催されたバーベキュー大会=拓大ラグビー部提供 ©渡辺周治
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 関東大学リーグ戦2部から1部への復帰を目指す拓殖大ラグビー部は、8月12~27日に菅平で合宿を張った。25日には旅館に併設されたキャンプ場でバーベキュー(BBQ)大会を開催した。

 約100人のラグビー部員、スタッフ、保護者が一堂に会した。練習と半日オフの合間の昼食だったが、合計35キロの肉を消費。さらに1人あたり1・5合の白米、焼きそば、野菜が次々と選手たちの胃袋に消えていった。

 フランカーの村松俊介選手(4年)は「焼きそばや白飯と一緒に肉を約400グラム食べました。食べないと体重が落ちてしまうので、炭水化物はしっかりとります。3時間おきに補食のプロテインやバナナもおなかに入れます」と語る。

バーベキュー大会の余興で開催された筋肉自慢の学生と大人によるアームレスリング大会=拓大ラグビー部提供 ©渡辺周治
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 BBQは拓大ラグビー部の父母会が企画した。新井一富会長(49)によると、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、現在の選手たちが在学している4年間では初めての試みだった。「合宿中の選手たちには、通常の量では物足りないのでは?」と、保護者からは牛肉やお菓子などが次々に差し入れられたという。

 食後には、筋肉自慢の学生たちと大人たちによるアームレスリング大会の余興も。会場はアットホームな雰囲気に包まれていた。

唯一のコンビニは「売り上げ日本一」?

 関東大学対抗戦Aグループ(1部)の強豪、早稲田大も8月7~26日に菅平合宿に臨んだ。宿泊場所は、早大が所有する菅平セミナーハウス。選手の食事などもハウスから提供された。

 しかし、練習や試合の準備に忙しい監督、コーチなどのスタッフはゆっくり食事をとれないことも多い。強い味方が、菅平でただ一軒のコンビニエンスストア「セブンイレブン菅平高原店」だ。コーチを務める上田一貴さん(38)によると、スタッフの軽食はマネジャーがまとめて同店で買い出しするという。

慶大との招待試合で、トライを決める早大の選手(右下)=佐賀市のSAGAスタジアムで2024年5月5日午後2時7分、尾形有菜撮影
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 このコンビニは、独特の品ぞろえでも知られる。選手が練習後のクールダウンなどに使う板氷やかち割り氷を入れる専用の大型冷凍庫が店頭に6台もある。粉末プロテインの大袋、プロテインバーは複数の商品がずらりと並ぶ。リカバリー用の補食として好まれるカステラも大量に陳列されていた。

 各チームが買い出しに訪れ、おにぎりやサンドイッチ、バナナなどを買い物かごにぎっしりと詰めて、台車でレジに運んでいた。店内には日本代表のスター選手のサインが飾られ、ファンも訪れる観光名所になっている。

 ラグビー選手たちの食欲を支える同店は、夏場の売り上げが「国内屈指」「日本一になることもあるらしい」とラグビー関係者の間ではささやかれている。ただ、セブン&アイ・ホールディングスの広報は「売り上げに関するデータは非公表」としている。

長野・菅平高原で行われた拓大と中部大の練習試合=拓大ラグビー部提供 ©渡辺周治
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 練習と食事を終えた選手たちが夜、チームの垣根を越えてコンビニに集まるのも菅平でおなじみの光景だ。

 「同じ高校の選手同士や、高校日本代表で一緒になった仲間たちがコンビニで待ち合わせして、アイスやお菓子を食べながら、おしゃべりしているようです」と上田さん。菅平唯一のコンビニは、ラグビー選手の社交の場でもある。【杉田寿子】

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