東京大学=東京都文京区で2021年6月15日、武市公孝撮影

 東京大は10日、学部の授業料を現行の53万5800円から2割引き上げ、64万2960円とする方針を明らかにした。2025年4月の入学者から適用される。法科大学院を除く修士・専門職学位課程についても29年4月の入学者から同様に引き上げる。東大の学費が値上げされれば05年以来20年ぶりとなる。

 文部科学省令が定める国立大の「授業料標準額」は53万5800円。各大学の裁量で最大20%上乗せできる仕組みで、この規定を踏まえた額となる。東大は博士課程の授業料についても同様に引き上げを検討していたが、卓越した研究者の養成は東京大学の使命であることなどを考慮して据え置くとした。

 東大の授業料を巡っては、値上げを検討していることが5月に判明。一部の学生と教授が反発していた。この日、大学内で開かれた記者説明会で藤井輝夫学長は「現在、そして未来の学生のためにも財源確保に取り組み、教育学修環境を良いものにしていく努力を不断に続けたい」と理解を求めた。

 藤井学長は授業料の改定について「グローバルな競争が激しさを増す中で学生のための教育学修環境改善は『待ったなし』と考えている」と説明。授業料の改定による増収額は28年度末時点で13・5億円を見込み、学修支援システムなどの機能強化▽施設・設備の維持改修▽図書館機能強化▽経済的相談機能強化▽グローバル教養科目の増設――などに活用するとしている。

 授業料改定の一方で、学生への支援拡充策も合わせて発表した。授業料全額免除の上限を25年4月の入学者から現行の世帯収入400万円以下から600万円以下まで引き上げる。法科大学院を除く修士・専門職学位課程についても同様に29年4月入学者から拡充する。600万円を超えている場合も、世帯収入900万円以下の学生については、出身地など個別の状況を勘案して一部免除を実施するという。【井川加菜美、西本紗保美】

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