熊本県とJR九州は11日、全線が単線のJR豊肥線(熊本―大分)について、熊本県内の混雑する一部区間で複線化に向けた協議の検討を始めたことを明らかにした。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の進出に伴う半導体企業の集積で周辺では近年、首都圏並みの混雑や交通渋滞が課題となっている。
国土交通省によると、豊肥線の肥後大津―熊本間では、通勤時間帯の混雑率が2022年度実績で135%と、東京圏(123%)の平均混雑率を超えた。23年度実績では121%と改善したが、混雑は解消されていない。一連の企業進出を受けて27年には新駅の設置も予定される。
熊本県の木村敬知事は、7月末に国に提出したインフラ整備に関する要望書の中で、豊肥線の機能強化を盛り込んだことを言及。「交通渋滞解消のためにも公共交通機関の充実が必要」と述べた。
JR九州は、「複線化も含めた輸送力強化に向けた協議の必要性は認識している。協議を始めるための検討を始めた段階」としている。同社によると、管内で複線化した事例は、直近で22年2月に佐世保線(大町―高橋)で実施。西九州新幹線開業に向けた事業の一環で、国主体の事業だった。JR九州主体では、00年1月に混雑緩和のために実施した筑肥線(筑前前原―下山門)までさかのぼる。【山口桂子】
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