「守り神」への信頼がいま、揺らいでいる。7月の大雨で故障し、住宅などが浸水した山形・酒田市の「竹田排水機場」について、管理する国が9月10日夜に住民説明会を開いた。しかし、説明された事実関係に住民側は納得できなかった。
過去の水害被害からポンプ2基を設置
7月に県内を襲った記録的な大雨で、酒田市の竹田地区では、内水氾濫により集落65戸のうち44戸が「床上浸水」し、住宅や家財道具・農作物に大きな被害が出た。
この記事の画像(8枚)地区内の竹田川沿いにある「竹田排水機場」は、過去に何度も水害にあった経験から、今から50年以上前の1967年にポンプ2基が設置され、大雨などで溜まった内水を最上川に排出してきた。
しかし今回は、これまでに経験がないほどの早さで集落内の水位が上昇していったという。
10日夜、排水機場を管理する「国土交通省 酒田河川国道事務所」が開いた説明会で、住民から“ある疑問”が相次いだ。
ポンプ2基は稼働していたのか?
「私たちの気持ちとしては“安心安全の守り神”である排水機場に全幅の信頼を置いていたわけだが…」と話す竹田自治会の荘司東一会長。
住民たちが疑問に感じていたのは、「なぜ急激に竹田川の水位が上がってきたのか」「排水機は順調に・正常に稼働していたのか」ということだ。
これに対し、国交省側は「雨量が24時間で観測史上最大を記録し、排水が追いつかなかったことが内水氾濫の大きな要因になった」と説明。
2基のポンプは、地区内の水位が上昇していた7月25日午後3時半から、排水機場の浸水により故障して停止した26日午前2時半までは、途中、停電による運転停止を挟みながらも稼働できていたとした。また、操作員のオペレートも「当時の状況から考えると適切だった」と説明した。
しかし、稼働していたかわかる具体的なデータが示されないことに、住民側は反発。
また今後については、排水ポンプ車や小型ポンプを暫定的に新たに設置する一方で、既存のポンプはそのまま活用するとした国の「復旧案」に対し、住民からは「より高性能なポンプへの更新が必要」との声も上がった。
説明不十分…住民は「納得していない」
今回の国交省の説明について、住民からは「ポンプが十分に回っていたのであれば納得する。そこを一番聞きたかったのに、全然具体的なデータが出てこなかった。そこが一番問題」「当然納得していない」と不満の声が続出。
現在の排水機のポンプは、1967年設置のかなり古い年式だという。荘司自治会長は「温暖化に伴う集中豪雨が増える中、それに対応できる機能アップを求めていきたい」と話した。
酒田河川国道事務所の郡山副所長は「みなさんの疑問に十分に答えられなかったこともあったかもしれない。そういった部分はあらためて機会を設けて丁寧に説明したい」としている。
当時の運転状況や今後の対策について、住民が納得できる答えが示されるのか注目だ。
(さくらんぼテレビ)
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