家の中でゴキブリが現れたとき、つい追いかけてしまう人が多いだろう。

しかし、その行動はゴキブリをさらに逃がしかねない。

あまり考えたくないことだが、いざというときのための退治法を、虫ケア用品などの日用品の製造・販売を行うアース製薬に聞いた。

退治のコツは、少し勇気がいるが「前方から」だそう。

退治のコツは「進行方向を狙って」

「ゴキブリは追いかけると逃げますよね。しかし実際は、ゴキブリは前に進むことしかできないため、そのように見えるのです。

そして、なぜ俊敏に逃げることができるかというと、おしりにあるハの字の形の『尾毛(びもう)』という器官で、空気の流れを感じ取っているからです」

ゴキブリは「尾毛(びもう)」で空気の流れを感じ取る(画像提供:アース製薬)
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ゴキブリはその「尾毛」でかすかな風でも感じ取るため、丸めた紙などで叩こうとしたり、スプレー剤をかけようと手を振り上げた瞬間に、その風を感じて逃げてしまうとのこと。

退治の際はスプレー剤がおすすめとのことだが、後ろから追いかけると先の説明のように逃げてしまい、仕留めにくくなる。だから「前方(進行方向)を狙う」のだ。

「立ち向かう必要はありませんが、ゴキブリの頭の前方(進行方向)を狙ってスプレー剤を吹きかけると、駆除しやすくなります。

ゴキブリ退治のコツは『進行方向を狙ってスプレー』と覚えておくと、対処しやすくなるでしょう」

ゴキブリの「卵」の対処方法

家の中にゴキブリの卵が産みつけられているのを発見した場合は、どのように処分するといいだろうか。

「家に現れることの多いクロゴキブリの卵は、1cm×5mmほどの大きさで黒褐色の『卵鞘(らんしょう)』と呼ばれる殻で覆われています。

『卵鞘』の中には、22~26個の卵が詰まっているといわれています」

ゴキブリの「卵鞘(らんしょう)」。殻の中にはたくさんの卵が詰まっている(画像提供:アース製薬)

卵は「鞘」で保護されているためかなり硬く、中の卵まで薬剤が届かないため、スプレー剤での効果は期待できないという。

「卵を見つけたときは、ゴム手袋をした状態で袋などに入れ、封をしてからつぶしてください。

つぶすことに抵抗がある場合は、袋を二重にして、燃やすごみに出しましょう。そして、卵があった場所は、アルコールスプレーなど拭いておくと安心です」

「家の中を清潔に」が寄せつけない第一歩

そもそも家に入れないようにすることで、卵が産みつけられたり、退治したりする必要もなくなる。

水滴や食べこぼしをそのままにしないなど対策はいくつかあるが、「家の中を清潔にすること」が寄せつけない第一歩だ。

家に出ることの多いクロゴキブリ(画像提供:アース製薬)

「ゴキブリは『暗くて狭くて暖かい場所』を好みます。例えば、ベランダや庭に置いてある植木鉢の下や隙間、エアコンのドレンパイプの中にいることがあります。

そこからの侵入を防ぐため、玄関や窓は開けっぱなしにせず、網戸に隙間があいている場合はテープなどで補修しましょう」

ゴキブリはエサのある場所に寄ってくるため、食べこぼしや汚れた食器をそのままにすることや、冷蔵庫の裏やコンロ下の調理くずも要注意。

段ボールは放置せずすぐ処分!(画像:イメージ)

「お菓子のかけら1つも、ゴキブリにとってはごちそう」だという。

加えて、湿気も好むため、水回りの掃除やシンク、風呂場に常に水・水滴がある状態も寄ってきやすくなる。

さらに、段ボールはゴキブリが卵を産んだり、すみかにしたりすることもあるため、早めの処分が望ましい。

ここで紹介した退治法を実践することがないように、日頃から少しずつでも家をキレイに保っていくと、ゴキブリが出現することはないかもしれない。

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取材・文=有竹亮介
イラスト=さいとうひさし

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