福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは今回、1000年以上の歴史があり国の重要文化財指定の拝殿がある、越前市の大塩八幡宮を散策します。
越前市王子保地区の南部に広がる里山にある大塩八幡宮。麓の大きな鳥居が目印で
す。残暑厳しい中、照り付ける日差しも木々にさえぎられ、いくらかの涼しさを感じながら178段の長い階段を上がりきると、いよいよ境内です。
大塩八幡宮のご利益は『妬みや苛めを払い除ける』というちょっと変わったもの。由来は、建立の経緯にあります。
さかのぼること1000年余り。仲間の妬みにより越前国府に流罪となった紀中納言友仲が無実の罪を晴らすためこの地で祈願を続けると、まもなく許されて京へ戻ることができ、その感謝の印に建立したのがこの神社と伝えられているためです。
境内でひときわ目につくのが、拝殿です。平安時代の武将・木曽義仲の命により移築されたという拝殿は、正面の幅が7間(15.76m)、側面が4間(8.88m)もあり、これほど大きなものは国内に数か所しかないと言われています。
軒を深く張り出した入母屋造、こけら葺きの屋根も壮大で国の重要文化財に指定されています。
義仲がこの地を訪れたのは源平合戦のころ。平家打倒に向け、大塩八幡宮のあるこの山に陣を立て必勝を祈願しました。最終的に合戦とはならなかったものの、敵の侵入を阻むため設けた堀切を見ることもできます。
奥には遊歩道も整備されています。手書きの看板に励まされながら10分ほど登ると分岐点が。展望広場を示す右手に進み、越前市内を眺めながら一休みです。
実は、この分岐点からはあまり知られていないスポットにも行くことができます。アップダウンの激しい山道を行くこと約30分。到着したのは、今回の散策のゴール地点「新幹線の展望スポット」です。
古来から都と北陸を結ぶ交通の要衝だった王子保地区。多くの人や馬が行き交ったこの地を、今は新幹線が通ります。日野山のトンネルを抜け、日野川を渡る敦賀行きの「かがやき」を眼下に望むことができます。
1000年を超える古社の歴史に触れ、山歩きも楽しんだ王子保地区への小さな旅でした。
〈大塩八幡宮〉
アクセス:ハピラインふくい王子保駅から南に約3km
※新幹線の展望スポットは遊歩道の終点「大塩山城址」の先にあり、道が険しい箇所もあるので体力に自信のある人・複数人で行くことをお勧めします。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。