沖縄県内では去年1年間に亡くなった人が1万5000人を超え、年々死亡者数が増加しています。

こうした中で、いま深刻になっているのが、亡くなった家族の遺体を長期間火葬することができない「火葬待ち」の問題です。

本島南部にある火葬場は那覇市の「いなんせ斎苑」と、豊見城市にある「南斎場」の2つで、この夏には12日間も待たされたケースもありました。

県内の現状を調査した。

画面上に並ぶバツ印。これは那覇市にある公営斎場「いなんせ斎苑」の火葬の予約ページです。

予約がとれるのは最も早くて6日後と、大切な人を亡くしてもすぐに火葬をすることができない状況が続いています。


県霊柩葬祭事業協同組合によりますと、県内の火葬場のひっ迫は今年4月頃から顕著になっているということです。

県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明理事長:
「ひっ迫する前ですね、だいたい2・3日で火葬と告別式を終えたのが、どうしても1週間以上待つと。(遺族も)非常に不安がられている状況です」

夏場を迎えた今年7月以降、平均して6日から7日の「火葬待ち」が発生していて、なかには2週間近く予約が取れない人もいます。

この状況は、今後さらに厳しくなる恐れがあります。

県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明理事長:
「団塊の世代が後期高齢者に入ったということで、どうしても死亡人口(の増加)は加速するだろうと」

県のまとめによりますと、去年県内の死亡者数は1万5千人余りで、5年前よりも
およそ3000人増加していて、死亡者数は年々増え続けています。

その一方で、火葬できる件数は限られ、いなんせ斎苑では1日12件となっています。

火葬炉を無理に稼働させれば、故障するリスクが高く、死亡者数の増加に対して
十分な対応ができていないのが現状です。

深刻化する「火葬待ち」は遺族に大きな負担を強いています。

遺族:
「どうしても1週間以上待つとなるとですね、(遺体の)顔の変色が出てきたりとかもしますので」
「綺麗な姿のままで送り出したいというのが、僕らの気持ちなんですけども、長く置くと(状態が)変わって来るものですから、心が痛い」

また、遺体を長期間を安置し続ければ10万円から20万円の追加料金が発生する場合もあり、遺族の経済的な負担にもつながっています。

火葬場のひっ迫を受けて、きょう那覇市議会の議員らが知念市長を訪ねました。

議員らは「大変な思いをしている遺族が増え看過できない問題だ」として、火葬待ちが7日を超えないよう運用体制の整備することや、市町村と葬儀事業者などが、情報共有や協議する場を設けることなどを求めました。

公明党那覇市議団 翁長俊英那覇市議:
「7日間(遺体を)保存するという、待機するというのは、衛生的にも精神的にもあってはいけないと思うんです」「安心して(火葬を)できるような体制を全体的に構築できれば」

知念市長は、市民の声を重く受け止めるとして、来年度の予算措置で遺体の安置に必要なドライアイスの費用を補助することを検討すると述べました。

県内の厳しい状況を目の当たりにしてきた、県霊柩葬祭事業協同組合の名嘉義明理事長は、ひっ迫した状況を抜本的に改善するには、火葬場の数が足りないと指摘します。


県霊柩葬祭事業協同組合 名嘉義明理事長:
「どうしても那覇のいなんせ斎苑は那覇市民と浦添市民が優先です」「宜野湾市、西原町、中城村、北中城村の方々はどうしても火葬場がないものですから、後回しにされる部分があるので、新しい火葬場を作ってもらわないと、緩和につながらないと思っています」

遺族の精神的な負担や、経済的な負担も大きくしている火葬場のひっ迫。

誰もが安心して、故人と別れられるための環境づくりや対策が求められています。

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