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 子宮頸(けい)がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種機会を逃した女性へのキャッチアップ(後追い)接種の期間が10月で残り半年になるのに合わせ、厚生労働省は標準的には約半年かかる接種を最短4~5カ月で終える方法を自治体に示した。

 ワクチンは計3回の接種が必要で、厚労省は来年3月末までの期間内に接種を終わらせるには今年9月末までに初回接種を受けるよう呼び掛けていた。一方で最近はSNS(ネット交流サービス)上で「もう間に合わない」といった声が相次いでいたほか、実施主体の自治体から10月以降の対応への質問が寄せられ、厚労省が24日、自治体に短縮スケジュールを周知した。

 示されたスケジュールは、ワクチンの用法などを説明する添付文書でも「やむを得ず接種間隔の変更が必要な場合」などとして記載されている。厚労省によると、治験で有効性や安全性が確認されている。

 期間内に終わらなかった接種については、1回分で最大約3万円が自己負担となるが、厚労省の担当者は「医療機関と相談しながら無理のないスケジュールで接種してほしい」としている。

 子宮頸がんは性的接触によるHPVの感染が主な原因となる。20代から患者数が増え始め、国内では毎年3000人が亡くなっている。ワクチン接種により子宮頸がんを最大で約90%防ぐことが期待でき、定期的な検診と併せて予防する。

 国は2013年4月、小学6年~高校1年の女性を対象に無料の定期接種を始めたが、接種後に体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、同年6月にはがきなどで接種を案内する「積極的勧奨」を差し控えた。

 その後、国内外の調査でワクチンの有効性と安全性が確認されたとして、22年4月に勧奨が再開。同時に始まったキャッチアップ接種は、勧奨が中断されていた間に接種時期を迎えていた1997~07年度生まれ(16~27歳)が対象となる。しかし、今年2~3月に厚労省が対象者に実施した調査では約半数が「キャッチアップ接種を知らない」と回答し、接種が伸び悩んでいる。

 HPVワクチンの啓発に取り組んできた、産婦人科医で「HPVについての情報を広く発信する会」の稲葉可奈子代表理事は「9月中に初回接種できなかった人も諦めないでもらいたい。まだ迷っているという人は、まず病院で相談してほしい」と話す。【中村好見】

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