福島県矢吹町の「妙見食堂」。創業50年以上の歴史を持つこの食堂には、驚きの二つの顔がある。ボリューム満点のメニューで地元の胃袋を満たす一方で、高校球児たちの「第二の母」として若者の夢を支える。その温かな日常に迫る。

<ボリューム満点 町の食堂>
福島県矢吹町にある黄色い暖簾が目印の「妙見食堂」は、創業から50年以上、地域の人たちに親しまれてきた。食堂を切り盛りするのは井澤一子さん。
「両親が築き上げた店をつなぎたい」と20年ほど前に店を継いだが、東日本大震災の影響で店は半壊。それでも半年後にメニューを刷新し、リニューアルオープンした。
朝の4時から仕込みを始める自家製のちぢれ麺を使った白河ラーメン(800円)が自慢。
そして店一番の人気メニューが、約1.5合もの米を使ったチャーハンセット(1150円)。
そのボリュームで、訪れる人のお腹を満たしている。井澤さんは「お客さんが盛りをよくすると喜んでくださるので、どんどん今の形になりました」と話す。

<球児たちを支える下宿先>
昼時は多くのビジネスマンや地元の人で賑わう店内。しかし、夕方になり帰ってきたのは光南高校の野球部員たち。妙見食堂は、30年ほど前から光南高校の下宿先になっていて、現在は7人が生活している。
この日の献立は、リクエストがあった韓国料理がメイン。井澤さんは「子どもたちはなんでもリクエストしてくれるので、すごく献立が決めやすいです」と話す。
そんな井澤さんの作る料理を、生徒たちは「満点です」「元気の源は、やっぱりご飯です」という。

<第二のお母さん>
自主練習を終えて、帰宅は午後9時近くになることも。それでも、毎日おいしいご飯を用意して帰りを待っている。
学校生活の話や恋愛相談まで…なんでも打ち明けられる関係は、実家から離れて暮らす生徒たちにとって大きな支えになっている。下宿する星純太さんは「本当に接しやすくて、”第二のお母さん”って感じ」という。
そんな生徒たちの目標は、やはり夏の甲子園に行くこと。その時は井澤さんも応援に行くつもりだ。

地域の人々のお腹を満たす食堂として、そして夢を追いかける球児たちの「母」として。二足のわらじで奮闘する日々はこれからも続く。

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