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自民党の石破総裁は、1日の国会で総理大臣に選出され、新内閣が正式に発足しました。

■初会見「納得と共感内閣」 石破新内閣“波乱の船出”

岸田内閣は1日午前に総辞職し、1094日間の政権運営に幕を下ろしました。

岸田総理
「3年間、本当に多くの皆さんに支えていただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました」

午後1時過ぎ、国会に現れた石破総裁は終始笑顔。首班指名を前に、こんな冗談も言っていました。

石破総裁
「私の名前を書いたことのない人が、いっぱいおられると思いますが、ぜひ、お間違いのないようにお願いをいたしたい。諸条件が整えばということですが、国民の皆さま方に信を問います」

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■早期解散に批判「論戦逃げた」

■早期解散に批判「論戦逃げた」

解散ありきの国会です。審議を求める野党の反発で、首班指名を行う本会議は、いきなり、30分遅れで始まりました。

立憲民主党・小川淳也幹事長
「解散は、政権の延命や党利党略で行われるべきものではない。これもほかならぬ、あなた自身が記した言葉ではありませんか。まさに有言不実行、言行不一致。ここに至っては、もはや、うそつきのそしりすら免れないのではありませんか」

投票が始まると、野党議員が『能登の補正予算を』と書かれたプラカードを掲げます。

れいわ新選組・大石晃子共同代表
「早々にメッキが剥がれたなって。裏金問題を隠すために被災地を見捨てて、平気で解散総選挙をやろうとしている人たちですから」

そして、午後2時すぎ、石破総裁が、第102代目の内閣総理大臣として指名されました。

党内野党として政権を批判してきた石破氏が、批判される側になります。

立憲民主党・野田佳彦代表
「もっと堂々と議論に向き合うタイプの政治家だと思っていたが、とっとと逃げてしまうことに対し、私は深い失望を覚えています」

日本維新の会・馬場伸幸代表
「いろんな課題を選挙の場を通じて、忘れてもらいたいと。そういう思いが前面に出てきているのではないか」

国民民主党・玉木雄一郎代表
「議論をしっかりするのが、石破さんの持ち味だったと思う。それを避けたら“アンコの入っていないまんじゅう”。大切なものが抜けてしまっているなと」

共産党・田村智子委員長
「9日間の会期で、まさに争点隠し、裏金隠し、論戦から逃げると」

社民党・福島みずほ党首
「(石破氏は)自民党野党だったはずが、党利党略のための解散総選挙になっている」

参政党・神谷宗幣代表
「自民党におきゅうをすえるような選挙にしてもらいたい」

自説を翻した“早期解散”には、総理自身も思うところがあるようです。各党へのあいさつ回りで、このようなやり取りがありました。

前原誠司衆院議員
「“石破カラー”をちゃんと出して頑張ってください」
石破総理
「出したらぶっ叩かれるから」
前原誠司衆院議員
「あんまり本音、 言わないように」
石破総理
「(本音を)出すと国民は喜ぶ。党内は怒る」

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■初入閣13人 女性は2人…

■初入閣13人 女性は2人…

そして、いよいよ組閣。新大臣たちも次々と官邸に呼ばれます。

1日に発足した石破内閣。初入閣は13人、女性はわずか2人です。

総裁選で石破氏を支持した岩屋毅氏、中谷元氏、小里泰弘氏は、それぞれ外務、防衛、農水大臣に。元石破派の平将明氏、赤沢亮正氏も閣僚に起用されました。旧安倍派からの入閣はゼロ。ともに政権を批判してきた村上誠一郎氏を総務大臣に迎えました。

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■初会見で語った“解散の大義”

■初会見で語った“解散の大義”

午後9時から、総理として初めての会見に臨みました。

石破総理
「国民の皆さま方に対して、勇気と真心を持って真実を語る。それが政治の役割だというふうに、私は40年近く信じてまいりました。謙虚で誠実で、あたたかい政治を行ってまいります。この内閣での基本方針は“守る”ということであります。まず第1にルールを守るという政治であらねばなりません。ルールを守る政治を実現していかねばなりません。国民を信じ、国民から信頼される内閣でありたいと思っております。我々は、国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語りたいと思っております。そして、国民から信頼されるために、我々が直ちに取り組まねばならないのは、政治改革であります。私は自由民主党の総裁として、令和の政治改革、これを断行してまいる所存であります。この内閣は、納得と共感内閣というふうに考えております。国民のための政治何よりも第一、国民の皆さま方に納得していただき、共感していただける共感と納得の政治を、まっすぐ進めてまいります」

(Q.当初は、自民党の都合だけではダメだと、国会論戦に時間をかける姿勢だったが、なぜ変わったのか。最初からできるだけ早く解散すると言えばよかったのではないか。今までは立派なことを言っていたのに、総理になったら豹変すると受け取られる懸念があるが、どうか。また、解散の大義は)

石破総理
「新しい内閣について、国民の皆さま方の信を問うということは、憲法の趣旨からもそういうことだと思っておりますが、同時に選挙中に議論をして、そのうえで国民の皆さま方にご判断いただける材料を提供すべきだということを申し上げてまいりました。これから国会において、いろんな議論が行われるということであります。私は代表質問に対するお答えも、その前の所信表明も、本当に自分の言葉で語りたいと思っております。そこにおいての質問に対する答えも、本当に誠心誠意やってまいりたいと思います。衆参の本会議のほかにそういう機会が与えられれば、それは十分とは言えないかもしれないが、国民の皆さま方に心に響くようにやってまいりたいと思っております。大義というのは、いま、申し上げたのが大義だと思っております。やはり新しい内閣が発足したからには、国民の皆さまに信を問う。そして、この内閣がいかなるものであるかということは、これから先、きょうもそうですが、申し上げてまいります。この内閣をご信任いただけるか、あるいはほかの選択があるのか、それを主権者たる国民の皆さま方に問うのが、私は大義だと思っております」

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■新内閣発足も“選挙モード”

■新内閣発足も“選挙モード”

※石破総理は、今月9日に衆議院を解散し、衆議院選挙を15日公示、27日投開票の日程で行うと表明しました。

会見で、解散の大義について、石破総理は「新しい内閣が発足したからには、国民に信を問う。この内閣がいかなるものかは、きょうもこの先も話していく。信任いただけるか、ほかの選択があるか、国民に問うのが大義」と述べました。

「判断材料はこれから提供することに努める」とも話していましたが、野党からは「今回の解散は妥当か」との声が出ています。

憲法の条文では衆議院の解散について、こう書かれています。
『衆議院で内閣不信任決議案が可決の場合、10日以内に衆議院を解散か、内閣総辞職しなければならない』(憲法第69条)

ただ、戦後内閣では、そのほとんどが69条に則った解散ではなく、“いわゆる7条解散”というもので実施されました。これは、内閣の助言と承認によって行うものです。

◆憲法学者の中央大学・橋本基弘教授に聞きました。

橋本教授は「不信任案の可決などがなくても解散するのなら、消費税導入など、国民生活に関わる“重大な事案”がある場合、内閣と衆院が“対立”し“審議が進まない状態”。第69条と同等の重大な事態で行うのが本来の姿。石破総理の解散の理由が『内閣が代わったから信を問う』では憲法上“妥当”とは、言い難い」と指摘します。

この橋本教授と同じ見解を示す国会議員がいます。それが、石破総理自身でした。

石破氏のブログ(2023年3月31日)
「衆院の解散・総選挙は、内閣不信任案が可決されたり、重要法案が否決されるなど、内閣と衆議院の意思が異なった場合に行われるのが憲法の趣旨。時の内閣の基盤を安定させるために行うという発想はとるべきものではありません」


◆石破総理の会見に出席していた政治部の千々岩森生官邸キャップに聞きます。

(Q.石破総理の解散をめぐる姿勢の“ブレ”を、自身はどう捉えているのでしょうか)

千々岩森生官邸キャップ
「まさに石破総理自身が、かなり気にしていますね。側近にも、過去の自分の発言との戦いになると心配しています。石破氏を見ていて感じるのは、直近の8年間、石破氏は無役だった。つまり第一線を離れて“党内野党”としての発言が国民に支持された。ただ、それが今、まさに“党内与党”というか、実際の為政者となって初めて、現実に向き合うなかで、整合性が問われていると。そんな姿に見えます」

(Q.記者会見での印象はどうでしたか)

千々岩森生官邸キャップ
「きょう、一日、石破氏を見ていて、虚ろな表情が見られました。いろいろ解散で批判されて、葛藤が顔に出ているという面もありましたが、会見自体は、落ち着いた印象でした。会見の中身ですが、自らの内閣を『納得と共感の内閣』と名付けました。これは、石破氏がかねがね言っていたフレーズです。さらに、これまで同様に使ってきた『国民に勇気と真心を持って真実を語る』。このフレーズを会見の冒頭、2回、繰り返しました。やりたいことが並んだんですが、そうしたことよりも、政治家としての政治姿勢を、より強調した会見となった印象です。

(Q.27日、選挙と明言しました。政権の出だしから“ブレ”た印象がありますが、選挙にどのような影響を与えると思いますか)

千々岩森生官邸キャップ
「野党側もすでに選挙モードで、恰好の攻撃材料になっています。最初から思い通りうまくいく政権は、一つもないわけではありますが、来週にかけて国会論戦がきますので、懸念を払しょくできるか、石破さん大丈夫か、見ていく必要があると思います」

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