猛暑だった夏が終わり、三重県紀北町矢口浦にある小さな入り江が赤や緑、オレンジ色の網で彩られている。みそ汁に入れたり、海苔(のり)の佃煮(つくだに)に使われたりするアオサノリの種付け作業だ。

 長さ20メートル、幅1.2メートルの網を10~20枚ほど重ねて浅瀬のくいに固定し、海中を漂うノリの胞子を定着させる。漁師たちは、効率よく胞子をつけるために網の高さを1センチ単位で調節する。

 伊勢志摩地方は、波が穏やかなリアス海岸の漁場が養殖漁業に適しており、アオサノリは全国で生産される約6割を県産が占めている。

 種付け作業は10月上旬まで。その後、沖合に網を移して本格的な養殖が始まる。冬にかけて成長し、緑のじゅうたんを敷き詰めたような風景に移り変わる。収穫は年明けから始まる。(ドローンで溝脇正撮影)

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