環境省は26日、本州以南のニホンジカについて、2022年度末の生息数は約246万頭だったとの推計結果を公表した。近年はほぼ横ばいの高い水準で推移しており、農作物被害などを減らすための国の目標達成にはほど遠い状態が続いている。
ニホンジカとイノシシを巡っては、農作物などへの被害を減らすため、環境省と農水省は13年、23年度までに生息数を11年度(ニホンジカ234万頭、イノシシ127万頭)と比べて半減させる目標を掲げた。しかし、達成の見通しは立たず、目標期限を28年度まで延長した。
22年度末時点の推計によると、本州以南のニホンジカは21年度末より約10万頭減ったが、基準年(11年度)より10万頭以上多かった。
一方、イノシシは21年度比9万頭減の約78万頭だった。捕獲に加えて、豚熱(CSF)の影響で減少傾向が続いており、基準年から約50万頭減っている。
環境省によると、ニホンジカの生息密度は東北と九州の多くの地域や、各地の県境付近で増加傾向にある。横ばい状態が続いているのは、ニホンジカが捕獲しにくい標高の高い山岳地帯や県境の山林などに移動するなどして分布を広げていることが一因と考えられるという。
環境省では今年度から、標高の高い地域での捕獲に対する補助割合を増やすほか、雌のシカを捕獲する場合の支援金を増額する。担当者は「捕獲しやすい地域だけでなく、生息密度が高くなっているエリアでの捕獲を強化したい」としている。【山口智】
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