秋田県鹿角市に移住した2人の地域おこし協力隊員が、自らの経験を生かして市への移住者を増やそうと奮闘している。移住者目線で鹿角市の魅力を発信する2人に思いを聞いた。
毎月3と8のつく日に開かれている鹿角市の花輪朝市。約400年続く朝市には、新鮮な魚や山菜などが並んでいる。
そこで出店者や地元住民と親しげに話をする2人。鹿角市地域おこし協力隊の佐原悠太さんと日高明衣さんだ。
2人は2024年2月、市への移住促進や移住者のサポートに当たる「移住コンシェルジュ」として着任した。
東京都出身の佐原さんは、元々都内でウェブ制作などを手掛ける会社を経営していた。転機は2023年の夏。本業の仕事をしながら農業などに取り組む「半農半X」を体験したことで鹿角市への移住を考えた。
佐原悠太さん:
「半農半Xのプロジェクトは2週間だったが、その後、知り合いづてにリンゴ農園でさらに1カ月くらい仕事をさせてもらって、その期間に『こっちで住むのも悪くないな』って感じになってきた」
一方、地元の鹿児島県で病院の管理栄養士として働いていた日高さんは、2023年に市内で行われた移住体験ツアーに参加。子育て環境に魅せられて長男と移住することを決断した。
日高明衣さん:
「地元と似た雰囲気があるところに安心感を覚えたのもある。子どもがいるが、子どもを育てる上で、『ここの支援制度だったらうまくやっていけるかもしれない』と自信を感じたのもきっかけ」
そんな2人が鹿角に移住し、いま力を入れているのがSNSの発信だ。移住者としての目線で、街にあるスポットや生活していて感じたことを写真や動画で紹介している。
佐原悠太さん:
「僕らも移住者なので、僕らが移住したことを楽しんでいないと嘘になってしまう。こういうところに行って楽しんで、様子とかを撮ってくることが、移住したい人が来てくれるきっかけになるかもしれない」
日高明衣さん:
「SNSで自分から発信するということを全くしてこなかったので、やり方から覚える状態。佐原さんが得意なので、教えてもらいながらやってみたら楽しい」
より多くの情報を発信しようと、2人は日頃から住民の交流の場に顔を出している。顔なじみの人も増えてきて会話も弾んでいるようだが、一つ気になることが…“方言”だ。
地元の人に話しかけられて、2人とも分かっているのか聞いてみると、佐原さんは「分かっていなくても分かっているように聞かないと、というのはある」と正直に教えてくれた。
日高さんは「なんて言っているか分からないけど、『何か伝えようとしてくれている、うれしい』って思って、うんうんとなる。今から慣れていくしかない」と話す。
まだまだ慣れないこともあるが、2人はお互いの立場や強みを生かして鹿角のPRに努めている。
日高明衣さん:
「鹿角に移住してくれる人の層としては子育て世代が多い。子育て世代の人に『鹿角に来たらこんないいことがあるよ』ということを、吸収して発信していくことをやっていきたい」
佐原悠太さん:
「前職がウェブとか広告とかアピールする仕事。僕が何かしたいというより、いろいろやりたいことがある人がいっぱいいるので、その手伝いを最初にやりたい」
協力隊としての任期は最長で3年。移住者の視点で鹿角の良さをアピールし、“住みたい”という人を増やすため、2人の活動は続く。
※日高明衣さんの「高」は「はしご高」
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