募金に協力する市民=津市の津駅西口で2023年4月30、原諒馬撮影

 今春高校に入学した病気・災害・自死遺児らを対象とした「あしなが高校奨学金」の予約申請者が三重県内で25人と過去最多を記録した。申請者は全国的に増加しており、奨学資金が追い付かないことから12人は不採用となった。一般財団法人あしなが育英会(本部・東京)では20日に全国各地で始まる街頭募金への協力を呼び掛けている。【山本直】

資金追い付かず、12人不採用

 予約申請とは中学3年生が高校入学後の奨学金支給を申し込むこと。育英会によると、昨年度から奨学金が給付のみに変更されたことや、貧困家庭ではいまだ新型コロナウイルス禍での経済的ダメージや物価高の影響を受けていることから申請が増えたとみられる。

 4月入学の高校奨学金予約採用には全国で過去最多の1800人が申請。これまで最多だった08年の1515人を大きく上回った。

 申請者のデータを分析すると、可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した「等価可処分所得」の中央値は126万円余り。保護者の51・6%が病気または病気がちで「働きたくても働けない」と訴えるなど遺児家庭は苦しい生活を強いられている。

 しかし、採用枠に限りがあるため全体の54・7%に当たる985人は不採用。県内でも25人中13人しか採用されなかった。

 こうした事態を受け、あしなが学生募金事務局は20日から全国各地で街頭募金を実施。集まった資金は育英会を通じて、国内とアフリカの遺児の支援に半分ずつ充てられる。

 県内では20、27、28日の3日間、近鉄百貨店四日市店ふれあいモールで正午~午後5時まで実施。また、伊勢市の五十鈴川郵便局前で20日正午~午後4時、津駅西口で21日正午~午後4時半に学生たちが街頭に立つ。

夢追い掛けられるように 伊勢市出身 専門学校2年 立花優里さん

立花優里さん=「あしなが学生募金事務局」提供

 5歳の時、父がくも膜下出血でなくなりました。小さい頃からトリマーになるのが夢でしたが、兄が高校卒業と同時に就職したのを見て、それは無理だと思っていました。

 高校進学の時にも制服や教科書にお金がかかり、不安を抱えていました。しかし、奨学金のおかげでトリミングの専門学校に進学することができ、夢を追い掛けることができています。

 経済的な事情で進学の夢を諦めてしまう人を減らし、目標に全力で向き合えるよう、この春も募金活動に取り組みます。応援とご協力をお願いします。

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