文部科学省が、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)結果の公表方法の見直しに向けた検討を始めることが18日、関係者への取材で判明した。全国知事会が各都道府県にアンケートした結果、都道府県・政令市ごとの正答率を公表している現行の方法に反対する意見が多かった。早ければ2025年度のテストから公表方法を変更する。
学テは毎年4月、全国の小学6年生と中学3年生の全員を対象に実施。結果は夏に文科省が都道府県・政令市ごとの平均正答率を小数点以下を四捨五入した整数で公表している。
1956年度に始まったが「自治体間の競争を助長する」との批判を受け66年度を最後に廃止。しかし、国際学力調査で日本の子どもの学力低下が指摘されるようになり、07年度に復活した。自治体別の結果は小数第1位まで示していたが、文科省は「わずかな差で競争をあおるのを避ける」として17年度から整数で公表するようになった経緯がある。
全国知事会は8月の知事会議で現行の方法への問題提起があったことを受け、9月に47都道府県を対象にアンケートを実施。現行の公表方法を維持すべきかどうか、また毎年、全員参加で行うべきかどうかなどを各都道府県に聞き取った。
会長の村井嘉浩・宮城県知事は10月の記者会見で、各自治体の費用や教員の労力の負担を念頭に「毎年やる意味がどれだけあるのか」と疑問を呈した。
関係者によると、結果は公表方法について現状維持派が少数だった。一方、実施頻度と対象範囲は現状を許容する知事が多かったという。知事会で意見が集約できれば、結果を25日の全国知事会議で正式に公表する見通し。
これを受け、文科省は12月に開催する学テのあり方に関する有識者会議に公表方法の見直しを提案する方針。文科省関係者は「競争を助長するのは本意ではない」としており、議論がまとまれば12月下旬に策定する25年度の学テ実施要項に盛り込む。
学テは27年度から全面オンライン化される予定で、文科省は教員の負担軽減につながるとみている。【斎藤文太郎】
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