急病や事故、火災の発生した時などに「119」に電話すると、救急車や消防車が迅速に駆けつけてくれる。ただ119番通報の中には、救急車が出動したものの軽症だったり、病院に搬送する必要がなかったりなど「不急」の119番通報もある。この「不急」の119番通報がどれだけ救急車両の運用に影響を与えるのか取材した。

宮崎市消防局への通報は年間約3万件

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宮崎市消防局の司令室。宮崎市・綾町・国富町からの119番通報は、24時間体制で365日対応している。年間の通報件数は約3万件。1日平均80件にのぼる。指令員たちは、本当に救急車が必要なのか、短時間のやり取りで判断しなければならない。

宮崎市消防局 兼松康博さん:
呼びかけて反応があるのか、呼吸をちゃんとしているのか、麻痺があるのか、顔色はどうなのか。緊急性を素早く判断して、1分1秒でも早く患者さんのもとに救急車を出動させる。

この日も・・。

「倒れているのが、あ、わかりました。ちょっと待ってください。向かわせますね」

通報はヘルパーからで、利用者宅を訪れた際、呼び出しても反応がなく、カーテンの隙間からうつぶせになっているのが見えるという内容だった。心肺停止の疑いもあるため、救急車を出動させることに。

宮崎市消防局管内には9カ所の消防署に10台の救急車が配備されていて、最も近くにいる救急車が現場に駆けつける仕組みになっている。今回の現場には、およそ5分で到着。鍵がかかっているという通報で窓を割って家に入ることも想定されるため、消防車もかけつけた。隊員が開いているドアを見つけ家の中に入ると、住人は隊員の呼びかけに反応。病院に搬送することができた。

「不急」の通報とは…?

ただ119番通報には、こんなケースも…

60代の女性から「足が痛くて動けない」という通報を受けて女性宅に到着した救急隊だったが、取材班が待っていても、いっこうに患者が搬送される様子はない。

隊員:
…ということは、歩くのは可能ということですか?お薬はお持ちじゃないんですか?痛みに対する。

住民:
ありますよ、どこかに。

隊員:
入院になるとは限らないですけど、とりあえず搬送してほしいということですかね。

本来、病院にすぐ搬送するための救急車だが、約30分間、女性宅から動くことはなかった。「急ぎではない」通報だったという事だ。

宮崎市消防局管内では、去年、救急車の出動が2万1713件あり、うち3646件(約17%)が、救急車での搬送を必要としないケースだった。また病院に搬送した場合でも、約4割が入院を必要としない「軽症」だった。

宮崎市消防局 救急救助企画室 浜砂憲治郎室長:
例えば指先をちょっと包丁で切っただけの救急であったりとか、朝の10時に入院が決まってるので荷物を持って救急車の到着を待っておられたりとかそういう例がある。

宮崎市消防局 救急救助企画室 浜砂憲治郎室長:
1分1秒を争うような重篤な患者さんが出た場合に、救急車が違う場所か来るので遅れるというのが一番問題。

「違う場所から来るので遅れる」のはなぜ?

例えば綾町から救急車を呼ぶと、通常、国富町から駆けつけるので、およそ10分で到着することができる。ただ、この国富町の救急車が不急の出動などで他のところに行っていた場合、宮崎市の住吉にある消防署から出動する事になる。その場合は20分から30分かかってしまうということになる。

10分以上経過すると、救命率が大幅に下がってしまうと言われるため、近くにいる消防車救急車が出動できないというのは、大きな影響がある。自分や、自分の大切な人が、救急車が必要なときにすぐに来てくれるように、適正な119番通報を心がけて欲しい。

(テレビ宮崎)

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