有珠山の東側山麓(さんろく)を通り、北海道伊達市と壮瞥町を結ぶ道道「滝之町伊達線」の迂回(うかい)路が完成し、23日、地元関係者約30人が「通り初め」をして開通を祝った。気象庁が監視を続ける活火山の有珠山が噴火した際、伊達市側へ抜ける主要な避難路となる。前回の有珠山噴火を教訓に進めた周辺の道路整備は、今回の整備でほぼ完結した。
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この道路は、地元で通称「有珠山外環状線」と呼ばれている。2000年の有珠山噴火災害後に策定された防災計画で、伊達市志門気町~壮瞥町立香の区間が、噴火によって火山灰や熱風が吹き付ける「火砕サージ」に襲われる恐れがあるため、これまでのルートの東側の火砕サージが及ばない地域に回り道する約4.2キロを整備した。
10年に事業着手、着工は14年で総事業費約35億円をかけた。有珠山が噴火した際は、住民らは原則、自家用車か自治体が用意するバスで避難する。
前回の噴火災害ではJRや道央道のほか、国道37号など主要な幹線道路が軒並み寸断され、住民の避難や救援、物資の補給に大きな影響が出た。道胆振総合振興局によると、豊浦町役場から伊達市役所までは通常、国道37号を利用すると20キロ足らずで約30分の距離だが、前回噴火直後の迂回ルートでは約160キロ、5時間以上かかった。今回の整備で、国道が使えない場合でも53.4キロ、約2時間になるという。
前回の噴火災害で壮瞥町職員として、住民避難や噴火後の復旧・復興に奔走し、内閣府の火山防災エキスパートに任命されている田鍋敏也町長(64)は、23日に伊達市であった開通式典の主催者あいさつでこう述べた。「住民らの安全安心の確保に極めて重要。周辺自治体と連携して強力に要請活動を展開してきた路線の開通は、周辺地域にとって大きな喜びだ」(松本英仁)
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