認知症の人にはどのような世界が見えているのか想像したことはありますか?認知症を「自分事」として考えてもらおうと、VR=仮想現実機器を使った認知症の体験会が越前市内で開かれました。
         
この体験会は、県内で高齢者介護施設を運営している県民生協が企画したもので、家族に認知症患者がいる人や介護士など約40人が参加しました。
 
参加者が身に着けているのは、認知症のさまざまな症状を患者本人の視点で体験することができるゴーグルとイヤホンです。
 
この「VR認知症」のシステムは、千葉県で介護施設を運営する「シルバーウッド」が認知症の当事者らの話をもとに開発しました。
 
映像は、ビルの屋上にいる当事者に介護職員が降りるよう声をかけるという不思議な光景です。当事者の体験を基に、認知症の中の症状の一つ「視空間失認」という距離感がつかみにくくなる症状を再現したもので、認知症の患者は、車からから降りるだけでも高いところから飛び降りるような恐怖感を感じていると言われています。

「何か困っていたら、まず『どうしたの?』と質問をして、その方に寄り添えるといいなと思う」と参加者らは感想を話し、VRの体験を基に「どうしてあげたいか」ではなく「どうしてほしいのか」というように当事者の立場になって考える大切さを学んでいました。
 
県民生協では、今後もVR体験会を開いていきたいとしています。       

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