福井市の学校給食に異物が混入する事態が3件、相次いで発生した。市は25日、「納入されたニンジンにガラス状のものが付着していたことが原因」と断定したが、どんな経路で混入したのかが判明していない。安全なはずの学校給食に、立て続けに起こった異物混入で、子どもたちや保護者の不安はぬぐわれていない。

立て続けに給食から異物が…

11月13日と20日、福井市内の中学校と小学校あわせて3校に提供された給食から、相次いでガラス片やガラス状のものが発見された。

給食からガラス片とみられる異物が…
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 13日、小中学校あわせて2校で子供たちがカレーシチューの中に固いものがあるのに気付いた。すぐに吐き出したため、健康被害などは報告されなかった。同メニューは市の給食センターで調理されたものだったが、市は「調理過程で混入したものではない」とし、異物混入が疑われる食材をのぞいたうえで、翌日からも給食の提供を続けた。

原因は調理過程でないと断定し給食を再開したが…

給食を再開した矢先に再び異物混入

 しかし…翌週20日、別の小学校で再び、検食をしていた校長が汁物の中からガラス状のものが入っているのに気付いた。相次ぐ異物混入に児童生徒をはじめ、保護者の間にも不安が広がった。  

立て続けに異物混入が発生

福井市学校給食センターは、2024年4月から稼働を始めた新しい施設で、異物混入があった3校の給食は、このセンターから配送されているものだった。センターは21日と22日の2日間、給食を停止し、施設内を調査した結果、再び「調理過程での混入ではない」と断定し、25日月曜日から給食の提供を再開した。

ところが…25日、子供たちが楽しみにしていた給食の時間が始まる直前、校内放送で給食メニュー変更の知らせが入った。

提供される予定だった給食メニュー

 本来は、「地場野菜のかき揚げ」「まいたけの中華炒め」「豆腐の中華スープ」「ごはん」「牛乳」の5品が提供される予定だったが、異物混入の原因とみられるメニューを避けるため、実際に子供たちが食べたのは「かき揚げ」「ごはん」「牛乳」のわずか3品となった。

この日はごはんとかき揚げのみに

 給食の直前ということもあり、この時点で詳細な説明はなく、生徒の間では「またどこかの学校で異物混入があったのだろう」という認識だったという。

 食べ盛りで、体を作る大事な給食。生徒たちにとってはやはり物足りなかったようで「量が少なすぎる。これだけ少ないのは小学校時代を含めて初めて」「みんな、ごはんをたくさん食べた」といった声が聞かれた。

急に給食が予定通り提供できなくなった場合、他のメニューを出すことはできないのか、福井市教育委員会に聞いたところ「アレルギーなどを含む安全の確保ができない。学校給食センターが用意する給食は1万3000食あり、この量を業者が対応できないため」としている。

 その後、市は異物混入の原因について発表し、「納入されたニンジンにガラス状のものが付着していた」とした。

職員がガラス片が刺さったニンジンを発見

市によると、25日10時30分頃、福井市学校給食センターの職員が、ニンジンの皮をむく機器の受け皿の中に小さなガラス状のものが混ざっているのを発見した。そこで、保管庫内のニンジンが入っていた段ボール箱を確認したところ、ニンジンやその段ボールの底に小さなガラス状のものが複数付着しているのを見つけたという。

ガラス片が刺さったニンジンを発見

 このニンジンは19日に納品され、2度目の異物混入があった20日の給食にも使用していた。そして25日も、19日に納品されたニンジンを使って調理していたため、原因判明後すぐに市内46の小中学校へ、ニンジンを使った献立3品の提供を中止したのだ。

当面は”ニンジン不使用”給食に

ガラス状のものの付着が発見されたニンジンは、センターが福井中央市場青果卸売協同組合に発注し、仲卸業者を通じて納品されたものだった。市は納品業者と関係機関への調査を指示し、当面の間、自校式の学校を含む市内72の小中学校で当面の間、二ンジンを使った献立を取りやめることを決めた。

 「異物混入の原因はニンジンにある」と断定された一方、一体どこで、なぜ、ガラス状のものが混入したのかは判明しておらず、しっかりとした原因究明が待たれている。

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