物流の「2024年問題」に対応し、JR貨物がトラック輸送との連携強化を進めている。目玉の一つは、トラックで運んだ荷物を鉄道コンテナに積み替えることができる「積替ステーション」の整備。鉄道利用のハードルを下げることで、運転手不足が危惧される運送業界からの需要の取り込みを狙う。
「ここは北東北の重要な物流拠点です。JR貨物の東北にある施設では唯一となる税関機能もあります」。盛岡市郊外のJR盛岡貨物ターミナル駅。同社北東北支店の鈴木剛広支店長が説明してくれた。同駅では4月1日に新総合事務所をオープンしたばかりで、旧事務所の跡地に12月をめどに積替ステーションを新設する。鈴木さんは「一般のトラックを受け入れることができ、利便性向上につながる」と力を込めた。
運送事業者が鉄道を利用する際は通常、駅に持ち込む前に各自の施設で荷物をコンテナに積み替えなければならない。コンテナを積載するには特殊なトラックが必要で、事業者には負担となってきた。
JR貨物が整備を進める積替ステーションは、事業者が荷物を直接、持ち込むことができる。利用料はかかるが、特殊なトラックは不要になる。さらに中長距離の輸送を鉄道に振り替えることで、事業者にとってはより柔軟な運転手の配置が期待できる。
同社は2020年3月に初めて、松山貨物駅(愛媛県伊予市)に設置。25年度までに全国22駅に整備する方針だ。
東北地方ではこれまでに、郡山貨物ターミナル(福島県郡山市)▽八戸貨物(青森県八戸市)▽秋田貨物(秋田市)▽東青森貨物(青森市)――の計4駅に開設した。盛岡貨物ターミナル駅では12フィートコンテナ36個分のスペースなどを設ける予定で、佐藤健治駅長は「知名度向上が課題だが、新規の顧客を取り込みたい」と話している。
国土交通省によると、国内貨物輸送量(輸送量ベース)の輸送機関別シェアで、鉄道は0・9%にとどまる。一方で、自動車は91・4%を占めている。【高橋昌紀】
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