今年度末でサービスが終了する「パスピー」。アストラムラインでは早くも今月いっぱいで利用できなくなります。
今後、公共交通機関ではどう対応していくのか、五十川記者に伝えてもらいます。

【五十川記者】
2008年に導入が始まったパスピーですが、システムの更新に膨大な費用がかかるとして、来年3月29日でサービスを終了します。
県内の公共交通機関は「ICOCA」などの交通系ICカードと、今年9月から運用をスタートした「モビリーデイズ」の、大きく2つに分かれます。
アストラムラインでは来月1日からICOCAのみの運用となります。

アストラムラインは券売機と自動改札機の更新などに時間がかかるとして一足早くサービスの終了を決めました。

<VTR>
【10代】
「面倒臭いよね。色んなカードが出てきてちょっと面倒臭い。それならパスピーそのままにしてくれたらよかった」
【60代】
「(ICOCAが)よくわからなくて、今どうしようかと思っていて、窓口がないかなと思って探していたんですけど」

取材中、パスピーからICOCAへ切り替えに来た人に遭遇しました。駅員に教えてもらいながら数分で発行を終えていました。

【60代】
「実は期日が11月末ということを忘れていて、偶然たまたまきて、ついでにやっておこうと思ってよかったです。ぎりぎりだったんですね」

【加藤キャスター】
「何とか間に合いましたが、パスピーが使えなくなると、使っていた人はびっくりしちゃいますね」

アストラムラインは、今週いっぱいでパスピーが使えなくなります。
ただし、注意しないといけないことがあります。
アストラムラインでは新しくモビリーデイズは使用できません。

【広島高速交通運輸部・中村広和 営業課長】
「(既存の)ICOCAに移行するというのは、そのとき(パスピー終了時点)から自然な流れでございました。(JR線と1枚作られる)連絡定期券も新たにサービスを始めていますので利用もしていただけるかなということで、利便性は高まるものと考えています」

<スタジオ>
JRを使う人には利便性が高まるのかなと思いますが、アストラムラインではモビリーデイズの導入予定はないということです。
モビリーデイズは二次元バーコードを使うのですが、ほんの一瞬なんですが、タッチするときに立ち止まる必要があるので、ラッシュ時には影響が出ることが懸念されたといいます。

【加藤キャスター】
「広島の街の中で、ICカードだったり、スマートフォンだったり、ちょっと混乱する部分もあるかもしれませんね」

【安部友裕さん】
「導入する際は、必ず最初は慣れないということがあるので、慣れていくには、もう少し時間がかかることが考えられますね」

ほかの業者がどうなっていくのかというと、広電グループ以外の複数の交通事業者(広島バス・広島交通・JR中国バス)は、定期券などでICOCAをメインにします。そしてICOCAなどの交通系ICカードと併せて、モビリーデイズを運用していく計画なんですが時期は未定となっています。

広島市はモビリーデイズを設置した事業者に対して、補助金を出すことを決めていて、設置を後押しする動きもあります。
しかし、なぜ今回は、パスピーの時のように、モビリーデイズへの統一が図れなかったのか、難しい現状も見えてきました。

<VTR>
【五十川 記者】
「失礼します。あ、工事をやっていますね」

広島市でおよそ200台の路線バスを運行する広島バス。
モリビリーデイズに移行するため、日中の運行時間帯も配線工事の真っ最中でした。

【五十川 記者】
「一定期間ですけれども最大でパスピーとICOCAとモビリーデイズの3台をつけないといけない?」

【広島バス運輸部・平岡祐介 次長】
「そうですね」
Q:機器は全部つきそうですか?
「乗り口(のスペース)は両サイド右側左側あるので。工事期間も限られているので、なんとか間に合わせるようにしようと思っている」

パスピーが終了までの過渡期には、最大3つの端末を車内に設置する必要があります。
広島バスでは、今年度中にICOCA端末の取り付けを完了する予定ですが、モリビリーデイズの設置は4割以下にとどまる見込みで、設置が終わるのは来年度中の予定です。

【広島バス運輸部・平岡祐介 次長】
「一番大きかったのはやはり交通系ICカード、(別名:10カード)をそのまま継続して使用できるという点においてICOCAのほうが適しているのではないか。正直分かりにくいことは重々承知をしているが、なんとか周知できるように、これから発信していきたい」

<スタジオ>
【加藤キャスター】
「乗るときに混乱しないよいうに準備しておく必要がありますね」

【新川美佐絵さん】
「来る車両によってモビリーデイズが使える使えないとかもあるっていうことですよね。だから企業努力なんでしょうけど、その便利さを追求するあまり、ちょっと不便になってしまうのかなっていう状態になっちゃいますかね」

一番の課題はモビリーデイズではICOCAなどの交通系ICカードが使えないという現状があるんです。広島電鉄の仮井康裕社長は新しい方針を示しました。
「モビリーデイズの車載器で他の交通系ICカードと流通系ICカードを読み取れるよう検討する」考えを示しています。

【岡野キャスター】
「使えるカードが増えるとうれしいですよね。助かります」

具体的に使えるようになるのか、時期なども不透明で、なかなか見えてこないところもあるのです。
ただ、モビリーデイズの利点もあります。

・バスは金額式定期券にできる。同じ料金内の区間であれば、定期券の区間より先に行っても追加の料金は必要ありません。
・料金割引などを時間帯、場所によって柔軟に対応しやすいという面。
それから…
・障がいのある人の割引適用も事前の手続きは必要ですが、パスピーと同じように自動判定をします。

ただ、システムが複雑になっているということで、広島市の公共交通政策の担当者は複雑な思いを抱えています。

<VTR>
【広島市公共交通政策部・山本陽明 担当課長】
「将来的には一本化に向けた形を本市としても目指していきたい。事業者も今のままがいいと思っていないし、そこに向けて将来的な展望を考えながら進めていけたらと思う。『できるか』と言われると、それは考えていかないといけない」

【加藤キャスター】
「試行錯誤しながらということになりそうですね」

将来的に1本化できるかどうかはわからないが、やっていくしかないという受け止めですよね。

改めて今後の乗車券システムの利用期間ですが、アストラムラインは今週11月30日をもってパスピーが使えません。
他の主なバス事業者はICOCAもモビリーデイズも使えるように整備を進めているという現状です。

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