医療機関を受診する際の保険証をめぐる制度が12月2日から変わった。政府は健康保険証の発行をやめ、マイナンバーカードによるマイナ保険証に一本化。長崎県内での普及は進んでおらず、マイナンバーカードへの理解も進める必要がありそうだ。

医師も不安「ちゃんと普及するのか」

西彼杵郡長与町にある「こが内科外科クリニック」の受付には、マイナ保険証の読み取り機が設置された。

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カードを読み取り機に入れて、暗証番号が顔認証を選択。最後に同意の有無を選ぶとわずか数十秒で受付が完了する。

こちらのクリニックではマイナ保険証を利用する人が徐々に増えているものの、2割に届いておらず、健康保険証で受診した人もいた。従来の保険証を使用した80代の患者は「普及してから使おうと思っているのでまだ使っていない。そろそろしないといけないと思っているけど」と、戸惑い気味だ。

マイナ保険証のメリットは他の病院での医療履歴などを医師が閲覧できることだ

マイナ保険証を利用すれば、他の病院での診療履歴や特定検診の結果などを医師が閲覧できるというメリットがある。

「ちゃんと普及してくれるのか」医師も不安を抱いている

しかし、医療機関には読み取り機の維持費や事務作業などの負担を強いられる。クリニックの院長も「メリットはわかるが、ちゃんと普及してくれるのか。これ以上普及せずに事務の手続きが増えないか心配だ」と不安を募らせる。

マイナ保険証利用は19.8%(10月末時点)

厚生労働省によると、2024年10月末時点で長崎県民の78.2%がマイナンバーカードを保有している。

長崎市では、国民健康保険の利用者のうち保険証を登録しているのは6割ほどで、実際に使ったのは19.8%にとどまっている。

長崎市の担当者は「“マイナ保険証と保険証のダブルスタンダードでもいいのではないか”という意見はよく耳にする。マイナ保険証を周知しつつ、粘り強く普及したい」と話す。

20代の若者も「マイナンバーカードが今のところ何に使われているか分かっていない」と話し、70代も「何十年と健康保険証を使ってきたので、変化についていけない。ついていきにくい」と戸惑いの声も聞かれる。

12月2日からマイナ保険証とあわせ、マイナンバーカードの申請から1週間で受け取れる「特急発行・交付制度」も始まっているが、長崎県内のマイナ保険証の浸透には、もう少し時間がかかりそうだ。

(テレビ長崎)

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