2013年に発売され、映画化もされたベストセラー「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」のモデルとなった小林さやかさんが15日、福岡市役所で講演した。小林さんは「予測できない時代の『教師』の役割とは?」をテーマに、「大人になったらこういう人になりたいと思われる先生であってほしい」と訴えた。
講演は県教育委員会や福岡市教委などの主催で、教員の人材確保の一環。教員志望者や教員ら約130人が聴講した。
小林さんは中学入学後に勉強をやめ、素行不良になったという。「校長先生に『君は人間のくずだ』と言われるなど学校の先生とは仲良くなかった」と振り返り、「地頭が良かったから(合格できた)と言われるが、それでは説明がつかない」と話した。
高校2年の時、「ビリギャル」の著者で塾講師の坪田信貴さんと面談し、慶応大の受験を決意した。しかし「坪田先生は東京大に興味があるかと全員に聞いて反応をみていた。これがマインドセット(心構え)だった。モチベーション(動機)は期待値と価値の二つがそろうこと」と説明した。
小林さんは大学卒業後、聖心女子大学院で学習科学、米コロンビア教育大学院で認知科学を学んだ経験から、「マインドセットとモチベーションがないと戦略や勉強法は意味がない」と語った。
また日本はリスクを取らない、失敗を許さない文化があり、「受験にも弊害がある」と指摘。「私の母は結果や成果には興味がなく、私がプロセスでどう学び、成長したかを喜んでくれた。慶応大に行きたいと思えたのは母やプロセスを見てくれる指導者がいたから。地頭のせいにして努力しないのはもったいない」と力を込めた。
最後に「生徒の成功体験を積み上げるために失敗に寛容になって。先生たちは賢くリスクをとってほしい」と参加者に呼びかけた。【池田真由香】
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