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 財源がないことを理由に協議が難航している年収「103万円の壁」の引き上げ。一方、国家公務員の給与を平均で年22万円増やす法案は近く成立する見込みで、その財源については明示されていません。この財源問題、どう考えればいいのでしょうか。

■手取りアップは年1万円?与党案で試算

古川元久税調会長 この記事の写真

 年収「103万円の壁」を巡り、いまだ“引き上げ幅”で大きな隔たりのある自民党と国民民主党。古川元久税調会長は「打ち切りも含めて考えなければならない」と、与党の譲歩を強く求めました。

 先週、与党が提示した案は「基礎控除」と「給与所得控除」をそれぞれ10万円引き上げて、123万円にするというものです。

 仮にそうなった場合、私たちの“手取り”はどれくらい増えるのでしょうか。元国税庁・調査官の深沢敬二税理士に試算してもらいました。

手取り年間1万210円アップ 税理士法人Miznale 深沢税理士
「年収が500万円の人を想定すると、現状の所得税が21万4920円が年間かかっているが、これが『123万円』案だと20万4710円となり、1万210円が税額として減ります」

 年間で1万210円。あくまで簡易的な試算ですが、これが「123万円」の時の“手取りアップ”額です。

年収300万円、年収700万円など場合

 他の年収でも計算すると、年収300万円なら年に5100円、年収700万円になると、年に2万400円という結果でした。

 また与党が「基礎控除」だけでなく「給与所得控除」と合わせての引き上げを提案していることについてはこう話します。

深沢税理士 深沢税理士
「給与(所得)が対象だと、自営業の方とかは対象にならない。副業の方は給与じゃなくて他の所得になる方が多いので、そういう方々にはメリットがなかったりする」

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■国家公務員給与UP 即支給なぜ?

■国家公務員給与UP 即支給なぜ?

 「103万円の壁」の見直しが進まない理由の1つが「財源」問題です。

額賀福志郎衆院議長
「起立多数、両案とも可決致しました」

 一方で先週、衆議院を通過したのは、国家公務員の給与を改正する法案です。人事院勧告に従い、高水準の賃上げを実現する内容となっています。

国家公務員の給与法改正案

 具体的には、大卒の初任給を3万円近く増やすほか、通勤手当は“最大15万円まで”に倍増。

ボーナスも追加

 さらに、月の給与は今年4月まで遡って適用され、先週すでに支給された冬のボーナスも追加されるなど、平均で22万円あまりも増えることになります。

 しかも、成立後は“速やかに”支給されるそうです。

20代の人
「公務員だけの給料が上がるのは、何でかなって思いますね」 50代の人
「上げられるんだったら、上げた方がいいと思う。予算があるなら」 予算は2410億円

 今回の給与法改正に必要な予算は2410億円ですが、財務省に確認すると、「財源については何か決まっているわけではない」という回答でした。

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■「政策優先度で実施を」専門家

■「政策優先度で実施を」専門家

 時に、都合よく使われがちな「財源」問題。

斎藤経済調査部長のレポート

 「『財源がない』は本当か〜『103万円の壁』引き上げを巡って〜」というタイトルのレポートで注目されている専門家がいます。

ニッセイ基礎研究所 斎藤太郎経済調査部長
「日本は毎年数十兆円の国債を発行している。新しい政策をやるのに国債を発行してはいけないのであれば、今までやっていた政策も、かなりの部分を取りやめないといけない」

 斎藤さんは「財源の有無」よりも「政策の優先度」で、実施するかどうか決めるべきだと指摘します。

斎藤経済調査部長「恒常的な所得を増やせば」 斎藤経済調査部長
「日本経済が長期にわたって停滞している一番の原因は、やはり個人消費が増えない。(控除見直しで)恒常的な所得を増やせば、消費が増えることは期待できる。ですから、私は単純に『財源がない』ということで、この政策をやめるのは一番やってはいけないことだと思う」

(「グッド!モーニング」2024年12月17日放送分より)

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