総務省が4月に発表した調査で「空き家」の数は過去最多となりました。そんな中、空き家率が全国でワーストとなった徳島県。行政も歯止めをかけようと対策に乗り出していますが効果はあるのでしょうか
■堺市の空き家 行政代執行による取り壊し
10日、重機を使った本格的な取り壊し作業が始まった堺市にある空き家。およそ40年前から人が住んでいない状態でしたが…きっかけは5年前。
屋根や外壁の一部が壊れていると近隣住民から堺市に通報があり市は通行人などに危険が及ぶ恐れが高いとして「特定空き家」に位置付け定期的に見回りを行っていました。
しかし、ことし4月に屋根が崩れ落ちるなど状態が悪化し「行政代執行」に踏み切りました。
【近隣住民】「通るたびに危ないなと思っていて、小っちゃい人とかお年寄りが通ってて落ちてきたらどうするんだろうと思って、やっと解体してくれる思ってホッとしてます」
老朽化による倒壊や、ごみの散乱など近隣住民にさまな悪影響を及ぼすこともある空き家。
総務省の調査によると全国の空き家は900万戸。少子高齢化や人口減少などの要因から30年間でおよそ2倍に増加し過去最多となっています。
■築50年の家「つぶすと税負担が重くなる」
京都駅から徒歩10分ほどの住宅街にある木造二階建て住宅。
【家の持ち主 森谷さん】「築は50年ちょっとです(Q.きれいにされていますね)改装しちゃったのできれいに見えますけど、もうちょっと使いこんでいました」
こちらの家は持ち主の森谷さんの義理の両親が住んでいた家でした。
【家の持ち主 森谷さん】「『空き家なんてなんとかせえ!』って嫁から言われますけど(笑)。僕自身はちゃんとした形にしてから使ってもらいたいと思ってるんで、もう少し手直しあったりする(耐震上は)窓が弱いんですよ。ここをもう耐震壁に変えちゃったんです。窓をなくすの嫌だったんですけど仕方ないですね」
耐震補強に屋根の工事など数百万円をかけリフォームを実施。しかし、今でも空き家の状態です。
人気のある場所なので土地だけを残すこともできましたが、更地にすると固定資産税が最大6倍になることもあり踏み切れない現状もあったそうです。
【家の持ち主 森谷さん】「(Q.更地には?)それも考えましたが家が50年たっているとはいえ状態は良かったんですね。長く住んだ家でもあるので、簡単につぶすという判断はしにくい。ただあんまり長く置いておくと、将来的に税金の問題もありますし、今もそうですけど基本的なコストがかかってくるので、もったいないですし」
■京都の空き家は10万戸以上 「空き家税」導入へ
さらに同じ京都市内にはこんな空き家も。
【空き家バンク京都・鈴木一輝代表】「こちらが空き家になります。10年以上空いたままの空き家でして、長い間、住み手がいらっしゃらないことが腐敗・劣化の原因になっているかなと思います」
京都市では空き家が10万戸以上ありますが、空き家バンク京都の鈴木代表は空き屋である事をオープンにしていないなどの”隠れ空き家”は多いそうです。
【空き家バンク京都・鈴木一輝代表】「『内々で人を紹介してください』というニーズがある。京都人ならではの見栄っ張りの部分もあり、売る・貸すことに引け目を感じていたり」
古都・京都でも深刻な空き家問題。こうした状況から京都市は空き家の流通・活用を促し、若者や子育て世代の市外流出に歯止めをかけようと、全国で初めて2026年以降に”空き家税”を導入する予定です。
■5軒に1軒が空き家の徳島県 空き家率は全国ワースト
一方、徳島県では相続やリフォームの相談を受け付ける窓口や老朽化の進み具合を判定する「空き家判定士」の導入などさまざま取り組みを行っています。
【徳島県住宅課 佐藤巧課長補佐】「こちらが住宅対策総合支援センターです。こちらで(空き家などの)相談を承っています」
しかし、総務省の調査で徳島県の空き家率は和歌山県と並んで全国ワースト。総住宅数に占める空き家率は21.2%と5軒に1軒が空き家なのです。
【徳島県民】「住んでない家が多いとか若い人がおらんようなったとか。(将来)子供はどうするんかなと。残ってほしいとは思いますけど」
【徳島県民】「年寄りがほとんど。一人暮らしとか二人暮らしの町ですね、さみしいと思います」
県民からも聞かれる少子高齢化の波。さまざまな取り組みをしても、なかなか空き家が減らないのが現状です。
■さらに問題なのは「放置された空き家」全国に380万戸
【徳島県住宅課 佐藤巧課長補佐】「事業としては進められていると感じているが、それ以上に空き家が増えている。人口の流出・少子高齢化が(空き家増加の)要因としてはあると思います。ただ、それだけが原因というところではなかなか決めつけられない、なかなか難しい」
特に自治体を悩ませているのが、放置された空き家。その数は全国にある空き家の4割およそ380万戸にのぼります。
10日に解体工事が始まった堺市の空き家も、長年放置され持ち主の特定に時間がかかりました。
この家は夫婦が所有していましたが、40年以上前にすでに死亡していて相続を受けたきょうだいなどの近い親族もすでに死亡。堺市が調べたところ親族は300人以上にのぼり、空き家の所有権は相続の自覚がない親族およそ数十人におよんでいました。
堺市は5年間調査を行いましたが、中には所在がわからない親族もいて相続人全員をまだ特定できていません。そのため300万円以上の解体費用を、誰にいくら請求できるのか見通しは立っていません。
【堺市建築都市局 森岡秀治主幹】「相続人を確定する作業はするが、なかなか全員確知できない可能性も高い。今わかっている所有者に対しても請求できないかとか、いろいろな方法を検討して請求していくが、どうしても請求できないこともある」
相続人全員が相続権を放棄した場合、税金で負担する可能性もあるということです。
(関西テレビ「newsランナー」5月10日放送)
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