日本で2番目に歴史のある「京都市動物園」。実は、5月12日を最後に人気者のトラの飼育を終了することにしました。その理由とは?
「オクくーん!」
京都市動物園で、一際多くの視線を集める人気者、アムールトラの「オク(13歳11カ月・オス)」です。
【来園者】「新しい場所に行っても元気でいてほしい。僕たちはすごく寂しいですけど」
【来園者】「朝からいます。もういなくなるから会えるチャンスがあまりないので。やんちゃでかわいかったんです。本当にショックですね」
「オク」は2010年に他の2頭の赤ちゃんとともに誕生。14年間を京都市動物園で過ごしてきましたが、5月12日を最後に富山県の動物園へ引っ越すことになりました。
■「動物福祉」のため「オク」は引っ越すという
「オク」が引っ越すことになった理由は、「動物福祉」です。
120年ほど前、1903年に開園した歴史ある京都市動物園。トラやライオンなどたくさんの大型動物を飼育し、来園者を楽しませてきました。
しかし、動物が心身共に健康で、自然な行動ができる環境づくりを目指す考え方が世界的な流れになり、京都市動物園でも設備の面から大型動物の飼育を徐々に終了しています。
テンジクネズミについても、これまで抱っこなどのふれあいができましたが、ストレスがかかることがわかり、「観察」するプログラムに切り替えています。
【京都市動物園 山梨裕美さん】「動物福祉はこれをやってすぐに改善するわけではない。人間が良かれと思ってやっても、効果が出なかったりする。例えば施設を新しくするには莫大な予算がかかるし、土地も人員も必要なので、なかなか簡単ではない。どう現実的に理念・理想を落とし込んでいくのか。クリエイティブさも必要になってきます」
■「飼育スペース」「京都の厳しい暑さ」2つの理由で京都を離れることに
今回、トラのオクにとってよりよい環境を求めた結果、大きく2つの理由で飼育をやめることにしました。
理由1「飼育スペース」 ここでは、オクが人を避けたいとき、身を隠すためのスペースを確保することができていません。
理由2「京都の厳しい暑さ」 もう一つは京都の厳しい夏の暑さです。本来、シベリアなどの寒い地域で暮らすアムールトラにとって、日差し対策の布があっても暑さが体にこたえるといいます。
【京都市動物園 山梨裕美さん】「動物福祉の観点からすると、動物にとって選択肢が多いかどうかが大事。アムールトラが常に涼しい場所を選べるかとか、隠れたりする場所を確保できるかとか、大型のアムールトラの全てのニーズを満たす上では難しい」
人気者として動物園を支えてきたアムールトラのオク。ここで過ごすのもあと2日です。
【京都市動物園 オク担当飼育員 中原文子さん】「個人的には寂しい思いもありますけど、やはり動物自身の健康や幸せが優先なので、それで移動することは仕方がないのかな」
動物にとっても見る側にとっても魅力ある動物園作り。京都市動物園も改革の真っ只中です。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月10日放送)
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