鳥の唐揚げ=小座野容斉撮影

 帝国データバンクが2023年に1000万円以上の負債を抱えて倒産(法的整理)した唐揚げ店が過去最多になったと発表したことに対し、「唐揚げを愛する人々」でつくる日本唐揚協会(東京)が「数値だけみればたくさんの店が倒産したように見えるが、実態をよく見てほしい」と注文をつけている。ポイントは「唐揚げの人気が落ちたわけではない」ということ。唐揚げ愛ゆえの反論だ。

 帝国データバンクの発表によると、23年の唐揚げ店の倒産件数は前年より24件多く、過去最多の27件となった。倒産したのは、小規模事業者のほか、大手唐揚げチェーンの加盟店や他の業種からの新規参入組などさまざまで、原料高や消費者の節約志向でスーパーなどの総菜や冷凍食品などに顧客が流れ、厳しい経営を強いられたと分析した。

 国の統計に基づく同社の推計では、鶏もも肉の23年の平均卸売価格(東京、1キロあたり)は、新型コロナウイルス禍前の19年と比べ1・2倍の約740円。唐揚げを揚げる食用油の平均卸売価格(全国、同)も19年比1・6倍の約470円に上がったという。帝国データの担当者は「コロナ禍では(唐揚げの販売状況は)良かったが、消費者の飽き、物価高、店舗数の過多で淘汰(とうた)が進んだ」と指摘した。

 一方、日本唐揚協会の独自推計によると、全国の唐揚げ店は24年4月の時点で4034店。コロナ禍の中食需要の高まりを受け、20年4月~23年3月の新規開店は1943店にも上り、ブームの様相を見せていた。同協会の推計でも最近、店舗数が減っていることに変わりはなく、24年4月時点で前年比354店の減少となった。

 協会の反論は「倒産の多くは、コロナ禍の唐揚げブームに乗って新規参入した大手チェーン店や、地域でのマーケティングが不十分だった店舗。原料高による唐揚げ人気の低下が理由ではない」という点だ。

 地域別の店舗数をみると、新規参入が多かったとみられる関東で前年比139店減の970店、近畿も94店減の649店となった。これに対し、大手チェーンの参入が少なく、地元に根付いた店舗が多い九州・沖縄は前年比3店増の1190店だった。

 協会の担当者は「真面目に取り組む店は売り上げを伸ばしている」と話している。【下原知広】

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