「ふくしまピーチホリデイ」への参加を呼び掛ける金澤千裕さん(右)と国分桃香さん=福島市五月町の市観光コンベンション協会で2024年5月9日午前9時7分、錦織祐一撮影

 完熟したり傷が付いたりした福島市名産の桃を地元の飲食店で味わってもらうキャンペーン「ふくしまピーチホリデイ」が7月12日~9月23日の約2カ月半開催される。出荷できなくなった桃でも非常においしい。主催する福島市観光コンベンション協会は5月22日まで、桃を生かしたメニューを提供する飲食店、桃狩りやスイーツ作りなどの体験を提供する事業者など参加店を募集している。

 桃は皮が繊細で傷付きやすいうえ、熟するのが早いため一斉に迎える収穫期に収穫が遅れた実は首都圏などの消費地へ輸送する間に熟し過ぎてしまう。特に近年は人手不足の影響が大きく、収穫が間に合わずロス(廃棄)になる実が増えているという。だが、同協会の金澤千裕(ちひろ)さん(42)は強調する。「実は、桃は長く枝につき続けた方がおいしい。この本当においしい桃は、輸送する必要がない地元・福島なら味わえます」

 キャンペーンでは、ロスになった桃の購入を希望する協会会員への果樹園からの送料を協会が負担し、活用を支援する。7月に開設予定の特設サイトには現在地から近くの参加店を検索できる機能を設け、土地勘のない首都圏などからの観光客でも気軽に旬の桃を味わえる。今年は伊達市に範囲を拡大し、紙のマップも作製する。

 さらに今年は、実は福島で約60品種も栽培されている桃の多彩な魅力をPRするため「あかつき」など主要8品種を女性キャラクターに擬人化する初の試みも進行中だ。キャンペーンのビジュアルも手掛けるイラストレーターのico.(いこ)さんのアイデアで、県北地方の農家の女性でつくる「ふくしま農業富女子(ふじょし)会」に品種ごとの特徴をヒアリングした。「桃が好きな人は品種ごとの味の特徴で選び、農家さんは桃を我が子のように育てる。それをキャラクターで伝えたい」と金澤さん。

桃のアフタヌーンティーセット=福島市観光コンベンション協会提供

 2023年のキャンペーンには61施設が参加。桃のラガービール、会席料理、アフタヌーンティーセット、果樹園を巡るラッピングタクシーなどを展開した。土湯温泉では桃の葉を浮かべた「桃の葉風呂」が「香りがいい」と好評だったため、今年はロスの桃と併せて葉も果樹園から引き取り、本格的に活用する。

 キャンペーンは22年に始まり今年で3年目。20年放送のNHK連続テレビ小説「エール」に合わせて、ドラマの舞台となった福島市を訪れる観光客向けに桃のパフェを飲食店に商品開発してもらう取り組みを進めたが「メニューをさらに増やしたい」との意見が寄せられたため、このキャンペーンに発展した。

 問い合わせは福島市観光コンベンション協会(024・563・5554)へ。【錦織祐一】

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