日本人の腎細胞がんの7割に、他国ではほとんど見られない未知の発がん要因が見つかったと、国立がん研究センターなどの国際チームが14日発表した。環境や化学物質などの外的要因の可能性が高いとみられる。
がん細胞は、通常の細胞のDNAが損傷して突然変異することで生まれるが、遺伝や喫煙など、原因ごとに変異のパターンがある。チームは腎臓がんの8~9割を占める腎細胞がんのうち最も多くみられるタイプを対象に、日本や、さらに発症頻度の高いチェコ、頻度の低いタイなど計11カ国の962例を調べて変異パターンを解析した。
その結果、日本人36例の7割で、他国では2%程度しかみられない特徴的な変異パターン「SBS12」が見つかり、日本人61例を加えて検証しても同様の結果が出た。SBS12は日本人の肝臓がんでも過去に確認されており、これまで知られている変異パターンの傾向から、遺伝や加齢などの内的要因ではなく、外的要因による可能性が高いという。
チームは今後、日本人の腎細胞がんの大規模な全ゲノム解析をして発がん要因の地域差を調べ、変異ががんに至るまでのプロセスも詳しく分析。他のがんとの関わりもみる。チームの柴田龍弘・同センター研究所がんゲノミクス研究分野長は「要因やメカニズムの研究を進めることで、腎細胞がんの新たな予防法や治療法の開発が期待できる」としている。
成果は1日に英科学誌ネイチャーに掲載された。【寺町六花】
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