北海道新幹線札幌延伸の2030年度末開業が「極めて困難」と建設主体の鉄道・運輸機構が表明したことを受け、JR北海道の綿貫泰之社長は15日、31年度を目標としてきた「経営自立」について、「新幹線の開業が遅れれば、その分延びる」との見通しを示した。

 経営難が続くJR北は19年に発表した長期経営ビジョンで、新幹線が札幌延伸した翌年の31年度に国の財政支援なしで純損益を黒字化する「経営自立」を達成する目標を掲げた。新幹線による旅客増や不動産事業の収益拡大を見込んでいる。

 綿貫社長はこの日、経営自立が遅れる可能性を認めたうえで、「新幹線の札幌開業を機に経営自立を目指すという方針には変わりない」とした。

 現在、法律では国からJR北への財政支援は30年度までとされている。新幹線開業が遅れる場合、それ以降も支援が必要になる可能性があるが、綿貫社長は「当社の最大限の自助努力を前提に、国とも相談していきたい」と述べた。

 札幌駅南口で30年度末までの開業を計画しているバスターミナルが入る再開発ビルについては、「新幹線の遅れに関係なく、計画通り進めていく」との考えを改めて示した。(新田哲史)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。