東武鉄道は、自動改札機を通す、裏が黒いタイプの切符「磁気乗車券」を全廃し、QRコードを活用した乗車券に切り替える検討を始めた。自動改札機のメンテナンス負担の軽減などが狙いで、2027年度までの導入を目指す。
磁気乗車券は、裏面の磁気部分に「発駅」「経由」「発売日」「有効期間」などの情報が書き込まれており、自動改札機が有効な切符かを判定している。多くの鉄道会社が採用しているが、特殊な紙の調達や廃棄に費用がかかるほか、改札機の中を切符がひんぱんに通るため、こまめな改札機の点検も欠かせず負担になっていた。
磁気乗車券の全廃に伴い、QRコードが印刷・表示された切符やスマートフォンを改札機のリーダーで読み取る仕組みの導入を想定している。これにより、磁気乗車券のさまざまな負担が解消できるほか、企画乗車券を柔軟に作成できるメリットがあるという。
QRコードへの変更には周知拡大などが必要と想定し、顧客の利便性を損なわないよう検証を進める。他社線への乗り入れもあることから、こうした切符の扱いも課題になるとみられる。
既に実証実験にも取り組んでおり、23年10~12月、栃木・日光地区でQRコードがスマホに表示されるフリーパスを販売。主要駅のコードリーダーや窓口のタブレットにQRコードをかざして入退場する仕組みで、得られた課題などを今後の検討に生かすという。
東武鉄道は、4月30日に発表した中期経営計画(24~27年度)で、デジタル技術の活用による安定した運営と利益の確保を柱の一つに掲げた。磁気乗車券の廃止方針もその一環と位置づけている。
デジタル活用ではこのほか、大師線(西新井―大師前)の自動運転計画や、バス路線の「レベル4」(限定した地域や環境で車の全ての操作をシステムが担う)での自動運転を目指した実証の推進なども予定している。【増田博樹】
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