本格的な夏山シーズンを迎えた霧島連山の話題です。高千穂峰の登山口にある人気のコーヒー専門店。お店のオススメは山の頂上で飲む「山頂コーヒー」です。特別な一杯の味は!?霧島支局の取材です。

鹿児島県霧島市の高千穂河原です。

標高1000m、高千穂峰のふもとで、登山口があることから、5月の大型連休中も多くの登山客でにぎわいました。

その高千穂河原の一画にあるのが2023年7月にオープンした、コーヒー専門店「ミコト乃フモト」です。

店の名前は、天孫降臨の神話が伝わる高千穂峰にちなんでつけられたそうです。

ここでは、本格的な自家焙煎のドリップコーヒーが楽しめます。

店のバリスタ、平田冬偉さんです。

ミコト乃フモト バリスタ・平田冬偉さん
「店には『深いり』のコーヒーは置いていなくて、全部『浅いり』のコーヒー豆。焙煎を短時間で済ませて、コーヒーの果実由来の酸味が残るよう焙煎している」

コーヒー豆の加熱時間を短くする「浅煎りコーヒー」は、苦味の少ないフルーティーな味わいが特徴。

訪れる登山客や観光客、そして山の雰囲気に合わせようと試行錯誤を重ね、たどり着いた味です。

霧島の自然が感じられるコーヒー専門店と、その個性的な味わいが人気を集めていて、すでに常連という客もいるようです。

店の客
「最高です。登ってきたらご褒美として飲んでいます」
「深みがある感じです」
「フルーティーな感じがします」

そして、時々店に立つというこの男性が、オーナーの長里紀亨さんです。

実は長里さん、霧島市国分の繁華街にあるバーと、音楽練習スタジオの経営者でもあります。

なぜ、山の店を開くことになったのでしょうか。

ミコト乃フモト・長里紀亨オーナー
「自分が大病を患ってお酒が飲めなくなった。何か新しい趣味を見つけようという時に、知り合いに登山を教えてもらって、高千穂峰が好きになって、その頃から今やっている店舗はずっとやってなくて何かさびしいなと」

登山に通ううちに、高千穂河原をもっと活性化させたいと思うようになった長里さん。

空き店舗を借り、自然の中のコーヒー専門店の開店にこぎ着けました。

バリスタの平田さんも長里さんのバーで働く従業員の1人。

コーヒーに詳しかったことから抜擢されました。

そんな長里さんと平田さんが一押しするのが山頂コーヒーです。

この日の高千穂峰登山道。

雲は多いものの、まずまずの登山日和で、咲き始めのミヤマキリシマ、そして御鉢のダイナミックな景観が広がります。

この雄大な自然にみせられた長里さん。

登山の途中でコーヒー店のコンセプトを教えてくれました。

長里紀亨オーナー
「『人×山×珈琲』というのをテーマにして店をやっているので、自然は第一に考えて、どうしたらこの自然になじむ店ができるかを考えながらやっている」

登山開始から約2時間。山頂に到着しました。

そして、いよいよコーヒータイムです。

バリスタ・平田冬偉さん
「これがミコト乃フモトで今朝、登る前にハンドドリップで入れたもの。熱湯をいれているので、登ってきてこのお湯の中に販売している、紅茶のティーバッグのコーヒーバージョンを入れて山頂で抽出する」

山頂コーヒーは2種類。

あらかじめ店でドリップしたコーヒーか、コーヒーバッグで抽出する方法があります。

コーヒーバッグを選んだ場合は、店で入れてもらった熱湯で抽出を行います。

山を登る間にお湯はほどよい温度に下がっていて、約5分でコーヒーができました。

霧島支局・徳永健一記者
「これが山頂で入れたコーヒーです...あーおいしい!甘みがあって飲みやすいですね」

舌に感じるフルーツのような甘さの正体は、浅いりコーヒーを使ったコーヒーバッグならではの特徴だそうです。

ミコト乃フモト・長里紀亨オーナー
「お湯さえ持ってくれば簡単にコーヒーがいれられるというところが良いところ。いろんなアウトドアシーンで、簡単においしいコーヒーが入れられるというところをもっと追求して、どうやったらアウトドアとコーヒーが結びつくか考えていきたい」

登山の達成感と、頂上の絶景を眺めながら飲むおいしいコーヒー。

山頂コーヒーは体と心が癒やされていく特別なコーヒータイムでした。

高千穂河原のミコト乃フモトは、午前9時から午後5時まで営業しているということです。

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