当選を確実にし支援者と握手を交わす鈴木康友さん(中央)
川勝平太前知事の辞職に伴う静岡県知事選は26日投開票され、無所属の元浜松市長鈴木康友氏(66)=立民、国民推薦=が新人6人による争いを制し、初当選した。無所属の元副知事大村慎一氏(60)=自民推薦=は僅差で敗れた。 ◇ リニア中央新幹線静岡工区の問題を巡っては、鈴木康友氏は選挙戦で着工に推進の立場を表明しながらも、議論を加速させる手法は具体的に示さなかった。終盤になると、着工にかたくなに反対した川勝平太前知事を「見過ごされていた環境問題を明らかにした」と繰り返し評価。リニア計画に慎重な層の支持も獲得したが、県民全体の理解を得ながら議論を急ぐことは容易ではない。 鈴木氏は当初、「リニアが開通すれば、東海道新幹線が停車する便数が増える」と、開業後の県内への経済波及効果を強調した。だが、選挙戦中盤、岐阜県瑞浪市で、リニアのトンネル掘削工事が原因とみられる共同水源の水位低下問題が発覚。川勝氏の功績を認める姿勢をアピールし、リニア反対派にも浸透した。リニア中央新幹線の試験車=山梨県都留市の実験センターで
中日新聞、東京新聞などの世論調査によると、リニア推進に賛成する有権者は半数を超えたが、一方で、6割は川勝県政を評価した。夢の超特急の実現に理解を示しつつ、水資源・自然環境の保護を願う姿が浮かぶ。他県の住民もリニアを巡る環境問題に敏感になる中、丁寧な合意形成と議論の加速化の両立ができるか、手腕が問われる。(中川紘希) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。