16日告示の衆院東京15区補選では、立憲民主党と国民民主党の共闘が成立しなかった。両党はともに旧民主党を源流とするが、共産党も含めた選挙協力の枠組みを重視する立民に対し、共産との選挙協力に否定的な国民の温度差がたびたび表面化。岸田政権が「政治とカネ」の問題に揺れる中、次期衆院選を見据えて連携強化を模索してきたものの、共産との関係を巡る足並みの乱れが今回も露呈した。(佐藤裕介)

◆国民は乙武洋匡氏を推薦、ファーストは「仲間」

東京15区補選で、国民民主党はいったん独自候補の擁立を発表したが、過去に法令違反行為があったとして公認内定を取り消した。その後、立憲民主党は前江東区議の新人酒井菜摘氏(37)を擁立。共産党は独自候補を取り下げ、酒井氏の支援に回る。

記者会見する榛葉賀津也幹事長=12日、国民民主党の公式Youtubeチャンネル

国民は12日、東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が設立した地域政党「ファーストの会」副代表で作家の無所属新人乙武洋匡氏(48)の推薦を発表。乙武氏については当初、「自民党が推薦を出すような人は応援できない」(榛葉賀津也幹事長)と説明していたが、自民が推薦を見合わせたのを受け、推薦を決めた。榛葉幹事長は12日の記者会見で「先の参院選でもともに戦い、いくつかの首長選挙でも連携しかつては政策勉強会もともにやっている仲間だ」と、ファーストとの関係の深さを強調した。

◆玉木雄一郎代表「選挙目当てで一緒にはならない」

玉木雄一郎代表は9日の記者会見で、立民の酒井氏を支援する可能性について問われ、酒井氏が共産の支援を受けていることを念頭に「安全保障や憲法観、エネルギー政策の方向性で一致しないと野合との批判は免れない。選挙目当てで一緒になるということは我々の方針には合わない」と指摘した。

記者会見する玉木雄一郎代表=9日、国民民主党の公式Youtubeチャンネル

立民、国民両党を支援する連合の関係者は「政権交代には大きな塊が必要だ」とした上で、「共産党との関係をどうするのか丁寧に話し合わない限り、野党共闘は簡単には実現しないだろう」と話す。 東京15区補選には酒井氏と乙武氏のほか、日本維新の会の新人金沢結衣氏(33)、参政党の新人吉川里奈氏(36)、元自民党衆院議員で無所属の秋元司氏(52)、参院議員の無所属新人須藤元気氏(46)、諸派「日本保守党」新人で麗沢大客員教授の飯山陽氏(48)、諸派「つばさの党」新人でITコンサル会社社長の根本良輔氏(29)、諸派「NHKから国民を守る党」新人で弁護士の福永活也氏(43)が立候補の意向を示している。 

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