民間の有識者らによる「人口戦略会議」が4月、将来消滅する可能性のある自治体名を公表したことを受けて、全国926の町村でつくる全国町村会が29日、東京一極集中の是正や少子化対策などを求める要望書を国に提出した。

 全国町村会長の吉田隆行・広島県坂町長らは同日、総務省を訪れ、松本剛明・総務相に要望書を提出した。提出後、取材に応じた吉田会長によると、松本総務相は「国と地方が両輪となり、地方が独自に取り組む施策をしっかりバックアップする」と答えたという。

 要望は6項目で、抜本的な少子化対策を早急に実行すること▽東京一極集中を是正するための抜本的対策を講じること▽さらなる市町村合併の推進など地域を切り捨てる施策は絶対に行わないこと、などを求めた。

 また、「消滅可能性自治体」の分析結果のリストについて、「20歳から39歳の女性人口が半減するという一面的な指標をもって、『消滅』という過激な言葉で線引きするもの」として遺憾の意を表明。一方で、「東京一極集中に歯止めがかからない状況においては、それぞれの地方自治体の努力だけで抜本的改善を図ることは困難」として、国の対応の必要性を訴えた。要望書の提出後、吉田会長は「『消滅』という表現をされて悔しい思いもしたが、このことを肥やしに国と一体となって、生き残りをかけて鋭意頑張っていきたい」と話した。(滝沢貴大)

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