【シリコンバレー=中藤玲】米アップルは29日(日本時間30日)、マイナンバーカードの身分証明書機能を、スマートフォン「iPhone」に2025年夏までに搭載すると発表した。行政や病院などでiPhoneをかざすことで本人確認ができる。

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日本政府はマイナンバーカード機能のスマホ搭載を進めており、日本のスマホシェアの過半を握るアップルの対応が焦点となっていた。

クレジットカードなどを管理する財布アプリ「ウォレット」に、マイナンバーカードを追加できるようになる。アップルがウォレットの身分証明書機能を米国外で展開するのは日本が初めて。

ウォレットからiPhoneの生体認証を経て身分証明書を提示すれば、物理的なカードと同じように、コンビニエンスストアでの公的な証明書の発行などに使うことができる。

アップルペイ・アップルウォレット担当バイスプレジデントのジェニファー・ベイリー氏は「iPhoneのセキュリティーとプライバシー保護の機能を最大限に活用しながら、身分証明書を提示する便利な方法を日本に提供することをうれしく思う」とコメントを出した。

マイナンバーカード機能のスマホ搭載は、2023年5月に米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」で先行して導入した。日本政府はアップルとも交渉していたが、セキュリティー確保などの面がハードルとなっていた。

アップルは「ユーザーがいつどこで何の個人情報を共有したかなどは暗号化されて、端末上にだけ保存される。アップルが情報を把握することはなく、利用者がiPhoneを置き忘れた場合には離れた場所から位置を特定したり消去できたりする」と説明した。

29日にはマイナンバーカードの全ての機能をスマホに搭載できるようになるマイナンバー法の改正案が参院特別委員会で可決された。インターネット上での銀行口座の開設などがスマホで完結できるようになる。

MM総研によると、23年の日本のスマホ出荷台数で、アップルのシェアは54.7%で首位だった。22年12月にアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が訪日した際には、岸田文雄首相がiPhoneへの搭載を要請したとされる。利用拡大にはずみをつけたい考えだ。

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