経協インフラ戦略会議で発言する林官房長官(左から2人目)=5日、首相官邸

政府は5日、2030年までの新たなインフラ輸出の戦略をつくる下地となる骨子を決めた。経済安全保障の観点で、5Gや宇宙、光海底ケーブルといったインフラの受注を官民で獲得することをめざす。

いまの戦略は25年に受注額を年34兆円にするという目標を掲げる。21年の実績は30兆円だった。政府は骨子を基に年内に新しい戦略を策定する。インフラ需要は今後も伸びると予測する一方、日本企業が相手国のニーズを十分に捉えきれていないとの問題意識がある。

政府は同日、首相官邸で経協インフラ戦略会議を開いて骨子を決めた。林芳正官房長官は「日本が先頭に立ち、同志国やグローバルサウス諸国と緊密に連携し、世界の新たな市場を共に切り開いていく決意で臨んでほしい」と関係省庁に指示した。

骨子は新興・途上国の「グローバルサウスの成長市場を取り込む」と明記した。経済安保に重きを置き、低コスト通信網のオープンRANや電力、金融などで案件形成を図る。官民のファイナンスを生かして進める。

人工知能(AI)では需要が「爆発的に増加する」と指摘し、安全、安心で信頼できるAIの実現に向けて取り組み、デジタルインフラを整備する。アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)などを通じて脱炭素の動きも支援する。

相手国の支援を待たずに提案する「オファー型」の協力を推進すると盛った。日本企業の海外進出を支援する狙いで在外公館に設置する「経済広域担当官」を活用して積極的に案件を取り込む。

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