自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案をめぐり、岸田文雄首相は10日の参院決算委員会で、「政策活動費」をチェックするための第三者機関の設置時期について問われ、「申し上げるのは難しい」と述べた。明言しない自民に対し、衆院で自民案に賛成した日本維新の会も反発している。
この日の参院決算委では、公明党の下野六太氏が「透明性の確保のポイントは第三者機関。法施行日(2026年1月1日)までに設置するのか」とただした。これに対し、首相は「現時点で予断を持って設置時期を申し上げるのは難しい」と答弁し、明言しなかった。
一方で首相は、「なるべく早期に設置できるよう議論に貢献する」とも述べた。政党の政治活動の自由を制約しない制度設計などが論点になるとの見方も示した。
自民がまとめた改正案は、公明、維新との党首会談で修正合意し、6日に衆院を通過した。政党から議員個人に渡され、公開義務のない政策活動費をめぐっては、領収書の10年後の公開や支出を監査する第三者機関の設置などがいずれも付則での検討項目とされ、具体的な実施時期が決まっていない。
この日、実質審議入りした参院政治改革特別委員会でも政策活動費が議論となった。維新の音喜多駿政調会長は「施行日に間に合うように、制度設計を目指す目標は明言してほしい」と迫ったが、自民の法案提出者の藤井比早之氏は、「可能な限り速やかに」とあいまいな答弁に終始。音喜多氏が「確約できないなら衆院と同じ対応が難しくなる場合がある」と牽制(けんせい)する場面もあった。
一方、参院決算委では、維新の清水貴之氏が首相に対し「総裁任期中に改憲を成し遂げる思いに変わりはないか」と迫った。首相は「時間的な制約があるのは事実だが、一歩でも議論を前に進めるべく、党として最大限の努力をする方針は全く変わりがない」とした。(三輪さち子)
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